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 栃木県那須町で登山講習中の高校生ら8人が亡くなった雪崩事故で、栃木県教育委員会の検証委員会は30日、中間報告書を公表した。「講習会の計画は従来の慣行で事務的に行われ、安全確保の観点から十分な検討が行われていたとは言い難い」と指摘した。

 事故は3月27日、県高校体育連盟登山専門部が開催した講習会で起きた。県内7高校の生徒と教員の計62人が5班に分かれ、雪をかきわけるラッセル訓練に参加。1班の県立大田原高校の生徒12人と引率教員2人は、午前7時50分ごろに行動を開始し、樹林帯を抜けて尾根上の岩に向かって進んでいた午前8時43分ごろに雪崩に巻き込まれた。

 報告書によると、事故当日の朝に3人の教員が悪天候で登山の中止を決め、ラッセル訓練に切り替えた。ルートや行動範囲は他の教員や生徒に明確に伝わっておらず、訓練現場が危険箇所という説明もなかった。各班の行動は各引率教員に任され、一部の班の行動範囲が広がって事故につながったと指摘した。

 1班の教員は聞き取りに対し、途中で「この先は少し急になるし、危ないので戻ろう」と引き返しを指示したが、「進みたい」という生徒の意向を考慮して登り、雪崩に遭ったと説明したという。「雪の状態や斜面の角度から大丈夫だろうと考えたが状況判断が甘かった」とも述べたという。報告書は「生徒の意向にかかわらず、毅然(きぜん)とした態度で明確な指示を出すべきだった」と指摘した。

 報告書によると、講習会は計画段階から、安全確保の十分な検討が行われていなかった。現地の下見は約2週間前に30分程度しかしておらず、雪崩が起きた場所は確認していなかった。

 検証委の終了後、委員長の戸田芳雄・東京女子体育大教授が、県教委の宇田貞夫教育長に報告書を提出した。戸田委員長は「『講習会』という言葉にカギがある。登山ではない=危険ではない、となったのではないか」と指摘した。

 検証委は再発防止策を盛り込んだ最終報告を9月にまとめる予定だ。高校1年の奥公輝(まさき)さん(当時16)を亡くした父親の勝さん(45)は「わからないことはまだある。あの天候の中、なぜ危険な斜面を登ったのか。(最終報告で)踏み込んでほしい」と語った。

 栃木県警は業務上過失致死傷容疑で捜査している。(吉田貴司)