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 米国最北端の町、アラスカ州のバローに、永久凍土の内部を見られるトンネルがある。研究者の許可を得て、地下に降りた。

 深さ6メートル。冷戦期の1960年代に米陸軍が掘った。旧ソ連に面したアラスカでの地上戦も想定した様々な調査の一環とみられる。

 天井や壁には、凍土の氷が昇華した後に、再結晶化した塊がびっしりとある。明かりをともすと、宝石のトンネルのような景色が広がった。

 二酸化炭素やメタンを封じ込めている永久凍土は、地球温暖化対策を考えるうえで重要な研究テーマの一つ。2004年、この凍土トンネル内に「ブライン」という濃い塩水だまりが見つかり、その後の調査で、周囲の凍土の30倍近い塩分濃度で、微生物の密度が最高で1千倍もあるという不思議な状態だとわかった。

 なぞを解き明かそうと研究が進むが、残された時間は多くない。ワシントン大のジェシー・コランジェロ博士は「温暖化で凍土が解け、外部の細菌などが入り汚染される危険がある」と心配している。(バロー=小坪遊)