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 もっと見た目がよければよかったのに……。そう思ったことはありませんか? 「見た目より中身だ」と言われますが、本当でしょうか? まず、朝日新聞デジタルのアンケートに集まった、経験にもとづく声を紹介します。なぜ、このテーマをみなさんとともに考えたいのか。企画した記者には、ある思いがありました。

■ニキビでいじめられた 若者の声

 人生の様々な局面で、見た目が物を言う。そんな体験を多くの人たちが寄せてくれています。まずは、20代、30代の意見から。

     

●「本来はいけないことだと思っているが、あまりにもだらしない服装をしている人を見ると『本当にこの人に任せていいのだろうか』と思ってしまうことがある。しかし、そういう人の中にも有能な人がいる可能性もあるので自分の見る目のなさを反省したことも実際にあった。なので、なるべく重要なことを任せる人と『話す』ことでその人の人となりを把握するようにしている」(北海道・20代男性)

     

●「顔にニキビがたくさんあったころ、なんでもないのにいじめられていた」(茨城県・30代男性)

     

●「就職活動を現在行っています。もう内定が出た友達もいます。やはり、人気企業の内定をもらった人は美男美女が多い気がします。見た目だけがすべてじゃないかもしれませんが、良くて損することはない。そう思います」(東京都・20代男性)

     

●「私は幼い頃から太っており、そんな体形からか小中学生時代の同性には立場が下と扱われておりました。高校大学では体形が変わらないにもかかわらずその様な扱いをされることは激減し、体形をネタにしてくる人に対しては自身よりも先に周りの人が怒りを示してくれることから、とても生きやすくなったお陰で、それ以前の自分の集団内での立場は不当なものであったと思うようになりました。世の中には見た目のことであっても『悪いものを悪いと言って何が悪い』という人もいまだ多く居るようで、テレビ番組は気持ち悪く感じるものが多いです。見た目を話のネタに使うことはその人を不当に攻撃することであると気づいていない人があまりにも多いように思います」(神奈川県・20代女性)

     

●「友人から紹介された男性と会うまで電話でやりとりしていて、相手はとても親しげにしていたが、実際に会って私の容姿を見てからは音信不通に。そんなに気に入らなかった?とこちらが幻滅した」(大阪府・30代女性)

     

●「婚カツ中の30代女性ですが、まずは写真でイエスかノーになります。やはり見た目が大きなポーションを占めることを痛感しています。見た目だけではないといいつつも、最初のスクリーニングは見た目なんです。男性の皆様、どう思われますか?」(東京都・30代女性)

■ハゲでチビでも気にならない

 見た目の影響について、人生を振り返りつつ書いてくれた意見の数々です。

     

●「自他共に認める不細工な男です。ついでにファッションセンスも無いので、男女問わず異様な目で見られております。そんな訳で、この年にして男女交際の経験がありません。もうどうでも良いです」(熊本県・50代男性)

     

●「同じ人間なのに太っていたときと、痩せた後で周囲の対応が激変した。やはり深く付き合う前のとっかかりには、見た目の印象は影響するのだと実感した」(東京都・50代女性)

     

●「若かりし頃、細くて、青い顔色だったので、化粧をしないでいると、気分が悪いと思われがちで、都合よく仮病を使っていました。あれからうん十年、がたいがしっかりした現在、本当に気分がすぐれない時にもなかなか心配されなくなった」(山口県・60代女性)

     

●「小学生の頃男の子に『おまえおたふくみたいな顔してるなあ』と言われたことがある。全くわる気はないだろう。しかし言われた私は、いたく傷ついた。その時から顔のコンプレックスを感じることとなる。中学生になってからもまた何か言われたらと彼を避けていた。それから数十年経ち同窓会で隣の席に座っていた彼にトラウマになったことを話した。彼は数十年も前のことを謝ってくれた。今なら『おたふくは可愛いじゃん!』ぐらいのことは言えるけど思春期の頃は顔のこと言われたのは嫌でした」(岡山県・60代女性)

     

●「私がとても好きになった人は、ハゲでチビです。でも、まったく気になりません。自分でも不思議なんですが、心から尊敬でき、この人の言うことは間違いないと強く思うのです。彼は自分で会社を興し、人を使う立場にありますが、従業員からも慕われています。つくづく、人間は見た目ではない、能力だと思います」(千葉県・40代女性)

     

●「若い可愛いやせ形の女子に仕事上の注意をしたら上司から『君は大きくて迫力があり、威圧的だから言われる方は萎縮する。君から注意しないでほしい』と言われました。私は165センチ、57キロ、肩とかはがっちりしてますが顔は幼い方だと言われてます。体格だけで威圧的だなんて言われても……アラフォーだからでしょうか? 注意した時言い聞かすように言ったのですが気に入らず上司に泣いて訴えたようです。以前から仕事面は出来なくても『あのコは弱いから』私が体調悪くても仕事に追い込まれてても『君は強いから』で済まされてました。見た目、年齢はどうしようもありません。信頼関係もこの一言でなくなり私は退社しました」(兵庫県・40代女性)

     

●「あれは、もう15年前。臨月だった私は、病院に行くのに電車に乗っていた。満席のため、立っていると、『あの、どうぞ、すわってください』と恥ずかしそうに声を掛けてくれる人がいた。近くに座っていた真面目そうな会社員でも、優しそうなおばさんでもなく、金髪の高校生だった。その気遣いがうれしくて『ありがとう』と言うと、『僕は、立ってても全然平気なので。ゆっくりしてください』と言ってくれた。その晩、祖母にこの出来事を話すと、『やっぱり、人は見た目じゃないね。外面で人を判断しちゃいけないよ。人間内面が大切なんだから。優しい面の皮をかぶった悪魔もいるからね。その反対も』。今はこの話を我が子にしている」(岡山県・40代女性)

■見た目の悩みとどう向き合うか

 「長男が見た目のせいでいじめられるのではないだろうか」「将来、自分の顔に強いコンプレックスを持つんじゃないだろうか」

 この7年、何度も頭をよぎった思いです。私の長男(7)は右顔の筋肉が未発達のまま生まれました。笑うと表情がゆがみ、右目はまばたきができません。長男と2人、公園で遊んでいると、知らない子どもに「変な顔で笑うな」と言われたこともあります。

 このように、人とは違う特徴的な見た目を持つ当事者は、学校生活や恋愛、就職、結婚など人生の多くの場面で苦労する「見た目問題」に直面します。そうした悩みを抱える人たちを支援するNPO法人「マイフェイス・マイスタイル」を通し、当事者の方々を紹介してもらい、みなさんの経験に耳を傾けてきました。

 ほおやあごの骨が未発達のまま生まれ、垂れ下がった目が特徴の男性(24)の体験談を「見た目の悩み 僕なりの答え」として、4月に報道しました。男性は顔について、自分の力では変えられないのだから、「割り切っている」と言う一方、「悩みは一生続く」という思いも語ってくれました。

 驚いたのは、記事への反響の大きさでした。数千件のコメントがインターネット上に書き込まれました。多くは、取材に応じてくれた男性に「勇気をもらった」といった声でした。ただ一方で、「気持ち悪い」「やっぱり人は見た目だよな」という書き込みもありました。

 男性は「こういう反応は覚悟していた」と言いましたが、私は考え込んでしまいました。「見た目より中身が大切だというけれど、実際のところ、人は見た目が何%なのだろうか?」「思っている以上に、私たちの社会では見た目が重視されているのではないか?」と。

 身だしなみを整えたり、おしゃれをしたりすることは素晴らしいと感じます。初めて会う人の第一印象が見た目で決まるのも、ある程度は仕方ないと思います。

 しかし、社会が見た目の良さを求めていると強く感じ、「やせていない」「かわいくない」などと幸せを感じられなくなってしまったら、どうでしょう。今回のアンケートにも、見た目にコンプレックスを抱き、生きづらさを訴える書き込みが集まっています。

 私の長男も少しずつ、自分の顔が他人と違うと感じているようです。もし友だちに何か言われたら、「生まれつきこうなんだ」と説明し、堂々としていればいいと私は伝えています。その一方で、長男の写真をプリントする際に、私は顔が大きくゆがむ笑顔の写真は避ける傾向があります。自分自身、まだ受け入れきれていないのかもしれません。

 「私たちは、他人の見た目にどのくらい影響を受けるのか」「私たちは、見た目の悩みとどう向き合うべきなのか」。フォーラム面で、みなさんと一緒に考えたいと思います。(岩井建樹)

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アンケート「人は見た目が何%?」を4日まで、http://t.asahi.com/forum別ウインドウで開きますで実施中です。ご意見はasahi_forum@asahi.comメールするでも募集しています。

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