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■熊本・秀岳館(和太鼓)

 打面は心の鏡。秀岳館高校(熊本県八代市)和太鼓部顧問の前田千秋教諭は、生徒たちにそう語り継いでいる。

 「伝統への思い、他者への尊敬の持ちようが、そのまま音になる。自分自身の心根も、音にそのまま表れる」。太鼓の打面は牛や鹿などの皮でできている。命をいただき、世界と共振して生きていることへの感謝を新たにする。太鼓を打つことは、人間教育でもあるのだ。

 地元で毎年11月23日に行われる八代妙見祭は、神輿(みこし)、神馬、笠鉾(かさぼこ)、獅子などが連なる長大な神幸行列で知られ、昨年ユネスコ無形文化遺産に登録された。総文祭では、そんな祭りのエッセンスを凝縮した「ま・つ・り・妙見」を披露する。八代神社(妙見宮)の守り神たる亀蛇(きだ)を囲み、全員でダイナミックに舞台を跳ねる。「歴史と先人の息吹を五感で感じて」と同部顧問の堀江千恵子教諭は語る。

 音を通じた出会いも広がっている。昨年、台湾で開かれた国際民俗芸術祭に出演。月に数回は学校近くの八代港に出向き、華やいだ打音で観光客らを乗せた外国船を見送る。

 熊本地震で被災した卒業生も。「昨日までの日常が断たれた人たちへの思いを一打一打にこめる」と3年の河上拳之朗さん。同じ3年の溝口阿梨(あり)さんも「いろんな情景を自由に思い浮かべていただければ」と語る。

 盛大な銅鑼(どら)の音とかけ声で、魂を未来へと継ぐ祭りが幕を開ける。(編集委員・吉田純子)

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