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 平和への思いを詠んだ短歌コンクール「八月の歌」(朝日新聞社主催、岐阜県高山市共催、高山市教育委員会後援)の優秀賞10首と奨励賞が決まった。今年で9回目。一般の部に525首、中学・高校の部に1637首の合わせて2162首の応募があった。フランスで平和活動に取り組む歌人、美帆シボさんが選考した。表彰式は8月12日に高山市で開かれる。

 優秀賞は次の通り。(敬称略、50音順)

 【一般の部】

介護士は平和な時にある仕事オムツ介助のできる幸せ(名古屋市)木村昌資

黒い雨を焼けつく喉で飲みし絵に動かぬ教え子瞳そらさず(岐阜県高山市)小谷史征

丸腰で重機あやつり井戸を掘る中村医師の平和の水脈(宮城県蔵王町)中松伴子

今日もまた戦後の日となれ、風薫る海の向こうの爆撃の音(茨城県結城市)山内佳織

書かせるな慰問手紙の無垢の酷てきをたくさんころしてください(大阪府茨木市)湯浅均

 【中学・高校の部】

次世代へ核亡き世界訴える被爆二世必死な瞳(津市立西郊中3年)奥山真之介

唇がへの字に震える語り部に甦る八月のあのヒロシマ(岐阜県立吉城高3年)白山穂高

南海の潮の間の駆動音島の悲鳴と私は思う(北海道・立命館慶祥中1年)田中聡月

立ち上がり前足が手になったのはピストルを撃つためにではない(静岡県立藤枝東高2年)塚本侑也

桃太郎悪魔と決めつけ鬼退治鬼の子達の気持ち知らずに(京都府立南丹高3年)永井凌一朗

 奨励賞は次の通り。(敬称略、50音順)

 【一般の部】

見て聞いて言える自由があればこそひとつひとつの顔持つ我ら(東京都東久留米市)網頭みどり

何もしなかったのも罪「ロベレ将軍」観し夜共謀罪通過す(名古屋市)伊藤弘子

改憲の渦にまかるる空き缶のひとつかわれは声を上げねば(長野県箕輪町)井上孝行

唯一の被爆国なれど「核禁止」に声上げぬをみる折り鶴哀し(岐阜県関市)今井美壽子

被爆樹も一語り部や青桐の実生の若木日に輝ける(岐阜県高山市)大下雅子

密林の奥に切り込み還らざる兄の叫びをふと真夜に聴く(岐阜県高山市)桐山恒子

妻と子を荼毘に付したる翌日に玉音放送聞くは悲しも(岐阜県高山市)坂田壽美子

「贅沢は敵だ」とされた戦中に「素敵だ」と書いた人こそ素敵だ(名古屋市)坂本雅則

ボブ・ディラン風に吹かれて今何処シリアの民の叫びを歌え(熊本市)田川清

「戦争は愛する国と人のため」反論できぬ言葉で始む(岐阜県高山市)西春彦

首里城の観光客の声遠く今も地下壕ひっそりと空く(岐阜県中津川市)西尾嘉浩

誤った国策信じ彼の国へ土足で入り裸足で逃げる(東京都多摩市)林善隣

砂利を踏む軍靴の音に耳澄まし今宵も待てり夫の帰還を(愛知県豊橋市)丸地ひさ

新しき元号に変わる日の近しいつの世もただ祈るは平和(愛知県江南市)村瀬雅美

子らの声聞くこともなく錆びつきしチェルノブイリの大観覧車(岐阜県高山市)和田操

 【中学・高校の部】

被爆者のその声聞いて伝えたいそれを知らない未来の大人へ(埼玉県上尾市立原市中3年)石田千穂

過ちを繰り返すなと説くけれど今なお進む核の実験(岐阜県高山市立朝日中3年)石原智也

ナガサキとヒロシマの地の負のレガシー三つめの地をつくるべからず(長崎県立長崎西高1年)石森聡子

優しさは人を守れる盾だからそれを使って生きてゆくべき(岐阜県高山市立日枝中3年)遠藤ルアン

一羽(ひとり)では運びきれないその願い千羽でつなげ時を経てまで(岐阜県高山市立日枝中3年)大洞沙也佳

戦争に行くのだろうかあの船はあの飛行機はあの少年は(茨城県立結城第二高3年)大森一輝

熱こもる墓に供えるくりまんじゅう食べたいと泣き亡くなった子へ(北海道・立命館慶祥中1年)奥山航輔

青空に鳩が飛び交う光景を搔き乱すのはかのオスプレイ(静岡県立藤枝東高2年)菊池知則

僕を見る死斑が出ている日本兵悲しい視線があの日を伝える(愛知県立明和高2年)近藤凌太

戦争を止めよ止めよと核を持つ被爆の怖さ知ってか知らずか(静岡県立藤枝東高2年)坂本廉太朗

科学の力生かすも殺すも人間の考え一つで未来が決まる(岐阜県高山市立荘川中3年)柴田三四朗

仏間から祖母の小さな背中見えお経聞こえる終戦記念日(岐阜県高山市立丹生川中3年)清水あやな

平和をと願って逝ったひめゆりの想いを継ぎし我らの未来(岐阜県高山市立日枝中3年)下屋澄音

今もなおあの日を語りて涙する世代変わるも原爆被害(岐阜県立飛驒神岡高1年)鈴木伊吹

原爆にやられた人の体験談教科書にない事実は重い(愛知県立起工業高3年)鈴木菜美

戦争につながる差別やめるべき「平和」を誓った我らは特に(岐阜県高山市立日枝中3年)髙橋愛生

あの炎よみがえらせない一心で炎の記憶を語り告げる(岡山市立光南台中1年)武田優大

焼けた服片足鳥居溶けたビン残ったモノがあの日を語る(愛知県立起工業高3年)田中翔也

五月雨の中立つ子の像頰伝う露が嘆くは現世の哀れ(岐阜県高山市立丹生川中3年)田中友菜

平和への祈りをささげ火は燃える核兵器がみな消えていくまで(津市立西郊中3年)谷口空

ヒロシマの小さな日記に綴られし「あしたがたのしみ」八月五日(愛知県立明和高2年)溜渕由依

遠い国数しか知らぬ死者の数いくつになれば我は動くか(静岡県立藤枝東高2年)戸塚華子

君の名を風がやさしくなぞるとき御霊(みたま)は帰る平和を探しに(愛知県・金城学院高1年)中村桃子

波にゆれ進みつづけた福竜丸 展示されながら平和を願う(岐阜県高山市立宮中3年)幅上結菜

「死にたい」と呟く君に戦死者はどんな言葉をかけるのだろう(岐阜県高山市立丹生川中2年)林花果

核爆弾全て無くなるその日まで灯(とも)し続ける怒りの灯(あか)り(岐阜県高山市立久々野中3年)細川瑞莉

ガマのごと暗き我らの平和道揺れるともしび絶やさぬように(愛知県立常滑高2年)松藤梨紗

原爆の被爆者名簿の風通し五月の風よ爽やかに吹け(岐阜県高山市立朝日中3年)森下滉

鶴折りて思う平和の隣には武器を片手の我らの平和(岐阜県高山市立朝日中3年)山岩葉乃子