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 真っ赤なパプリカの握りに、ズッキーニの軍艦――。埼玉県内のすし店で、色鮮やかな県産野菜を使った握りずしを提供する動きが広がっている。「海なし県」だが、野菜の生産が盛んという県の特徴を生かし、女性や外国人観光客の取り込みを目指す。

 考案したのは、さいたま市北区のすし店「山水」の関根利明社長(60)ら県内のすし職人。「『海なし県』ならではの地産地消メニューを」と約4年前から川魚のナマズなどで試行錯誤し、産出額全国7位(2015年度)と生産が盛んな野菜を使ったすしにたどり着いた。

 彩りや歯触りをいかすため、薄切りにしたズッキーニは甘酢に漬けて軍艦巻きに。キクラゲは甘辛くしてしゃりにのせる。握り約60種を職人向けに冊子にして、5月に県鮨(すし)商生活衛生同業組合で配布。加盟店130軒のうち30軒で提供が始まっている。

 「山水」では、「まず味を知って欲しい」と1貫150円で提供する。関根さんによると、魚の生食に抵抗があった米国人客に「これなら食べられる。タレにも動物性のだしを使わないでもらえるとうれしい」と喜ばれたという。うわさを聞いて来た女性客は「思った以上にきれいでおいしい。全種類制覇したい」と好評だったという。組合でこれまでに勉強会を11回開き、加盟店で作り方のコツを共有している。関根さんは県内で生産するヨーロッパ野菜など珍しい品種でも考案中で、「『江戸前』ならぬ『埼玉前』すしを定着させたい」と話す。(小林祝子)