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■文化の扉

 歌舞伎や能楽の舞台で、あるいは伝統工芸の作品で、感嘆のため息をつかせる技のきらめきに遭遇することがある。「さすが○○さんは人間国宝だ」などと称賛するのが常だが、制度は「人」より「わざ」に力点を置いているようだ。

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 「身に余る光栄です」「おこがましいことです」……。「人間国宝」の認定が決まった人たちは、ほぼ同じようなトーンで感想を述べる。訥々(とつとつ)とした落語家の柳家小三治さんは「うれしかったです……何でうれしかったんだろうね」などと話したが、幾ばくかの感激が交じっていると言ってもいい。

 「人間国宝」はあくまで通称だ。正式名称は「重要無形文化財保持者(各個認定)」。1950年制定の「文化財保護法」に基づき、54年に創設。能楽や歌舞伎、文楽、演芸などの芸能系と、陶芸や染織、漆芸、金工といった工芸技術系に大別され、現在14分野。小三治さんの場合、古典落語が重要無形文化財に指定され、それを高度に体現する「わざ」を持つ者として認定された。団体の構成員が対象の総合認定は「人間国宝」ではない。

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 この制度には、仏像などの有形文化財だけでなく、無形の「わざ」も後代につなげようとする、日本的発想が垣間見える。

 歌舞伎研究者の故河竹登志夫氏は生前、「主立った芸能が発生時から脈々と継承されているのは世界を見回しても類例がない現象」としていた。中世発生の能楽や近世発生の歌舞伎が、今日なお入場料をとるアクチュアルなパフォーマンスになっている点を見れば明らかだろう。人間国宝たちの「到達感」は、そうした伝承の基盤が前提となっている。

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■「生きる国宝」で認知度アップ、誤解も広がった

 しかし、文化庁は「この制度は大いに誤解されている」と強調する。

 「『わざ』を文化財として指定…

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