■宮城・石巻復興合同バンド(吹奏楽)

 宮城県石巻地区の6校120人で奏でるのはラベルの「ボレロ」、そして、石巻にちなんだ「サンファン・バウティスタⅡ序曲」。今年生誕450年を迎える伊達政宗ゆかりの慶長遣欧使節を乗せた船の名で、大海原を進む情景が壮大に描かれている。

 宮城と世界をつないだ海は、6年前に津波となってふるさとを襲った。4千人近い犠牲者を出した石巻は「最大の被災地」と呼ばれるようになった。

 石巻西高3年の音羽俊さん(17)は、家を流され避難所で過ごした。雪が降る寒さの中、すぐに毛布が届いたのを覚えている。その後には食べ物も。しかも遠いところから。「日本中から、世界中から、とてつもない力をもらった」

 しばらくして、トランペットを久しぶりに吹いてみた。とても楽しかった。音楽の力も知った。

 総文祭で伝えたいのは、感謝の気持ちと「元気に音楽をやっています」という今の自分たちの姿。合同練習は3回しかできなかったが、中途半端な舞台にするわけにはいかない。パートリーダーとして、学校ごとにくせが違う演奏を一つにする難しさに挑む。

 桜坂高3年の立花実来(みく)さん(17)は、ステージでフルートを吹く幸せをかみしめる。演奏場所がなかった中学時代、東京の大学に場所を提供してもらったことがある。

 当時の部活仲間に合同バンドで再会した。同じパートになった中学の後輩2人と、「また吹けるね」と喜び合った。「石巻の高校生はパワフル。最初で最後のこのメンバーと、今できる演奏をしたい」と張り切っている。(中林加南子)

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