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 若狭湾に面する福井県の「水月湖」は時を刻み続ける奇跡の湖と言われる。湖底に積もる7万年分の「時の物差し」は、化石や地層の年代を特定するための国際標準のデータに採用された。採用に至るまでの研究者の20年余の軌跡は――。

時紀行:水月湖

 包丁で薄く表面をそぐと、しま模様がくっきりと浮かび上がった。真空パックから取り出された1メートルほどの土の板。湖の底からとった地層の一部だ。

 このしま模様を「年縞(ねんこう)」という。木の年輪のように、しまは年数を表す。「4万8874プラスマイナス146年前から、4万7565プラスマイナス121年前までの年縞です」と立命館大の中川毅(たけし)教授(48)が説明してくれた。

 福井県の若狭(わかさ)町と美浜(みはま)町にまたがる「三方五湖(みかたごこ)」の一つ「水月(すいげつ)湖」。湖底の地中には深さ45メートルにわたる年縞があり、7万年分の時が正確に刻まれている。湖底には酸素がなく生き物がいない。湖に注ぐ川もなく、土砂が流れ込まない。周りを囲む山が強い風を遮る。世界でも数少ないそんな条件が奇跡的に重なり、年縞を作った。

 春から秋はプランクトンの死骸などが、晩秋から冬には湖水の鉄分から生じる鉱物などが堆積(たいせき)し、1年を示す明暗の1対のしまができる。年縞は外気に触れると酸化し、30分で灰色にくすんでしまうが、層を分析すれば気候変動も把握できる。含まれる花粉がカシなら温暖、シラカバなら氷期だ。

 水月湖の年縞は今、世界共通の「時の物差し」になっている。これを使って世界中の地層や化石の年代を特定できるのだ。

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