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 安達太良山のふもとの緑に囲まれた一角にエンジン音が響く。派手な配色の自動車が白煙を上げて走り、実況のアナウンスが雰囲気を盛り上げる。1千人を超す観客の中には外国人の姿も目立つ。

 タイヤを滑らせながら急なカーブを曲がるドリフト。福島県二本松市の「エビスサーキット」は、その「聖地」と呼ばれている。

 ドリフトは日本では1980年代から人気が広まった。1988年に設立されたエビスは、峠を走っていた車をサーキットに呼び込んだ。ドリフトは路面を傷めるため、エビスのようにドリフト向けにコースを開放するサーキットは珍しい。

 エビスで6月に行われたドリフト大会「FORMULA DRIFT JAPAN」にはニュージーランドや豪州、香港など海外からの参加者もいた。

 カナダから観戦に来たアーロン・パリスさん(27)は「今日は本当にうれしい」と興奮気味。大会はインターネットを通じてライブ配信された。視聴者は約8万人に上り、米国、豪州、ニュージーランドで6割近くを占めた。

 観戦するだけでなく、近くの宿に1カ月以上泊まり込んで、ドリフトの練習に没頭する外国人もいる。男性が中心だが、女性もいるという。

 年3回の「ドリフト祭り」では、通常午後4時半までのサーキットを夜通し開放。100人を超す外国人が豪州などから訪れる。サーキット内にある販売店でドリフト用に改造した車を購入し、楽しんだ後は売却して帰国する外国人もいるという。

 雑誌やSNSで取り上げられるにつれ、エビスの存在は海外にも広まり、いつしかあこがれの「聖地」となった。アーロンさんも「エビスの動画を見て、いつか来たいと思っていた。ここは伝説のサーキット」と話す。

 エビスの集客力に、福島県も期待を寄せる。紹介動画を作製し、2015年12月に動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開。今年7月上旬までに7万回以上再生された。

 サーフィンやスノーボードなどスポーツができる場所がそろった観光地として、外国人観光客を呼び寄せたい福島県。中でもエビスについて、吾妻嘉博・観光交流課長は「ドリフトの聖地として、ナンバーワンでオンリーワン。看板にしていきたい」と期待を寄せる。(茶井祐輝)