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 知的障害がある当事者たちが自ら声を伝えるインターネット放送局が、大阪にある。設立準備のさなかだった昨年7月、神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害された。「いきてたらあかんのか」。1年がたつのを前に、事件と向き合って番組を作った。

 横浜から高速道路を使って1時間あまり。相模湖近くの山あいにあるやまゆり園を、6月末、知的障害がある永井広美さん(44)が花束を持って訪ねた。

 傍らには、小型のビデオカメラを構えたスタッフ。大阪府東大阪市の社会福祉法人「創思苑(そうしえん)」が立ち上げたネット放送局「パンジーメディア」の撮影だ。東大阪から3日間の日程で、園入所者の保護者や、地元の社会福祉法人に取材し、最後に事件の現場を訪ねた。

 入所者たちは施設建て替えのため転居し、電気が消された園は静まりかえっていた。「山奥の施設で暮らすより、にぎやかな地域に住むほうがしあわせだと思う」とつぶやいた。

 創思苑は障害者が働く事業所やグループホームを運営している。ネット放送は昨年9月に始めた。理事長の林淑美さん(67)は「家族や支援者ではなく当事者自身が発信するメディアをつくりたいと、ずっと考えていた」と話す。2001年に訪れたスウェーデンで、障害者が参加してつくる情報紙やラジオ番組の存在を知り、アイデアを温めてきた。

 昨年の年明けから高校時代の先輩で映像ディレクターの小川道幸さん(69)=東京都渋谷区=の協力も得られ、設立にめどが立った。そして初回の企画を考えていた7月26日、やまゆり園の事件が起きた。

 死者19人、重軽傷27人。事…

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