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 8月に入り、これから海外旅行に出かける人も多いでしょう。長時間のフライトでは、乾燥した機内での脱水やエコノミークラス症候群に気をつけたいところです。現地では、食事の内容が大きく変わるため、油のとりすぎによる胃腸の不調にも注意が必要です。

 災害時の避難所や車中泊などでも注意を呼びかけているエコノミークラス症候群。日本旅行医学会によると、乾燥した機内では、気づかないうちに呼吸などから1時間に約80ccの水分が失われ、体内の血液が濃くなるという。血流が悪くなるとふくらはぎの静脈に血栓ができやすくなり、それが肺に詰まると、胸の痛みや呼吸困難を引き起こす。

 成田空港に近い成田赤十字病院(千葉県)の調査では、1994年から昨年までに、エコノミークラス症候群で重症な患者108人が運ばれてきたという。そのうち女性は90人。比較的身長の低い女性は、いすに密着して血管が圧迫されやすいと考えられている。座席は、窓側の席が36人、真ん中の席が44人。飛行時間は平均10時間前後で、水を飲まずにそのまま寝てしまう人もいた。トイレに行った回数は平均1回で、一度も行かなかった人もいるという。

 森尾比呂志・総合内科部長は「血栓ができるリスクの無かった人が4割以上で、健康な人でもなってしまうのが問題」と話す。病名が知られるようになった近年でも患者は減らず、「『まさか自分が』という人が多い。水分をとって、まめにトイレに行って歩いてほしい」と話す。

 同学会専務理事の篠塚規さん(千駄ケ谷インターナショナルクリニック院長)は、海外というと現地の感染症などが真っ先に気になるが、「日本人がもっともかかる一般的な病気は、油のとりすぎによる下痢」と注意を呼びかける。

 もともと、油をたくさんとると、軟便になりやすい。油の量が少ない日本の食事から、急に毎食油たっぷりの食事に変わると、便の回数が増えたり、下痢になったりしやすい。日本の軟水と違って、水が硬水であることが多く、下剤にも含まれるマグネシウムが入っていることがある。

 旅は、自身でも気づかないストレスがかかっていることがあり、下痢や便秘、胃痛などが起こりやすい。学会や旅行で海外へ行くことの多い篠塚さんは「私自身は、消化酵素剤が入っている整腸薬を服用して、朝ご飯や昼ご飯の量を調整します」と助言する。

<アピタル:マンスリー特集・夏の健康>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/monthly/(水野梓)