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 第99回全国高校野球選手権東・西東京大会(朝日新聞社、都高校野球連盟主催)は16日、東西計29試合があった。西大会は、昨夏代表の八王子が八回コールド勝ちで、秋春4強の国士舘は松が谷に競り勝ち初戦を突破した。東大会では、シード校の東京実と朋優学院がともに初戦敗退。昨夏4強の城東は大勝して4回戦へ。江戸川は好投手を擁する城西に逆転勝ちした。17、18日は4回戦が東西合わせて16試合ずつが行われる予定。(17日の試合結果は19日朝刊に掲載します。リアルタイム速報は「バーチャル高校野球」〈http://www.asahi.com/koshien/〉をご覧ください)

■あと一歩 健闘に拍手 松が谷

 3点を追う九回表だった。ベンチ前で円陣を組んでいた松が谷の選手は全員が振り向いて観客席を見上げた。そして満面の笑みを見せた。

 「みんな、見てみろ」

 狩野邦彦監督(60)が観客席を指さしたからだ。後のない状況で指示はそれだけだった。応援の声はいっそう大きくなり、選手は気持ちを奮い立たせた。

 松が谷のベンチ入りメンバーは全員3年生。それまで無得点だった打線は1死後、4番の辻慶哉の左越え本塁打と、下山幹太の適時二塁打などで1点差に迫る。出口蓉亮、山室恵介も四球を選んで塁に出た。2死満塁。一打逆転というところまで、シード校の国士舘を追い詰めた。

 出口は1年の秋からエースを務める。この日も持ち味である打たせてアウトをとる投球に徹した。走者を出しても牽制(けんせい)で刺すなど要所を締めた。自ら悔やむのは二回の2失点目。「死球を出した後、簡単にストライクを取りに行ってしまって……」。連打を浴びて追加点を与えた。

 高校進学の時、4歳上の兄が野球をしていた松が谷を選んだ。「兄が楽しそうだったから」。狩野監督は入学時から「球は遅いが頭脳的」と注目して「この投手と甲子園に行きたい」と期待した。球速を求めるよりも球種を増やそうと1年前、上手投げだった腕の振りをやや下げた。満足のいくフォームは今夏を前にようやく完成した。

 試合中、捕手の佐々木龍生と「攻めながらていねいに」と確認しあった。出口は緩急をつけ、コースを狙った。守備も無失策で出口を盛り上げた。誤算は、実は自信のあった打線に九回表まで火が付かなかったことだった。

 試合終了後、涙を流す狩野監督の横で、観客席にあいさつに向かう選手には笑顔もあった。今大会は初戦で強豪の早大学院を2対1で破った。そして、この日もあと一歩でシード校も倒せそうだった。そんな「最後の夏」を振り返って出口はまた笑顔を見せた。「全力で精いっぱいやれた。いい経験でした」=府中市民(山浦正敬)

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