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(16日、高校野球大阪大会 北かわち皐が丘8―2枚方なぎさ)

 大阪大会2回戦で16日、女子のノッカーが登場した。枚方なぎさの試合前シートノック。案内する場内放送が流れると、ショートカットに紺色の帽子をかぶった桑本輝良(きら)さん(3年)が、本塁ベースの横で一礼した。

 白い手袋をはめた右手にはノックバット。最初は三塁前にゴロを転がした。外野にも次々と球を飛ばし、7分間で計71本。ノックを終えた桑本さんは「緊張しました」とはにかんだ。

 「ノッカーとして、選手を最高の状態で送り出したい」。桑本さんは2年のとき、女子マネジャーから野球部選手に転身し、この日、夏の初舞台に挑んだ。

 小学4年で軟式野球を始めた。男女の違いを感じたのは中学時代。思春期だった。グラウンドで連係プレーの確認をするだけで、「仲いいやんけ」と冷やかされた。「男子の中で、もう野球はしたくない」と思った。高校では野球から離れるつもりだったが、グラウンドに響く打球音を聞いて、入部を決めた。

 1年の冬、手首をけがした内藤嘉信監督(41)にノックを頼まれた。外野に向けてバットを振ったつもりでも、ボテボテの内野ゴロ。田尻真輝人主将(3年)は「正直、全然練習にならなかった」と振り返るが、この日は違った。

 素振りや懸垂など男子選手と同じメニューをこなした成果が出た。左翼線や右翼線にもきわどい当たりを飛ばし、外野手のライン際のボール処理を手伝った。

 桑本さんは「まだまだ実力不足」と言うが、内藤監督は「男子と同じ厳しいメニューをこなしてきた。外野に飛ぶようになったのも努力の証し」と褒めた。

 試合中、桑本さんはスタンドから声援を送ったが、チームは北かわち皐が丘に敗退。「勝てると思ってた」。そう言った後は涙で声にならなかった。=豊中ローズ(中村正憲、半田尚子)

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