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 国内に患者が45万6千人いると推計されるアトピー性皮膚炎。子どもや若い世代の1割を占めるという報告もあります。紫外線が強く、汗をかきやすい夏場はどんなことに注意して過ごせばよいのか――。治療指針作りにも携わった日本医科大の佐伯秀久教授(皮膚科)に聞きました。

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 ――まずアトピー性皮膚炎とはどんな病気でしょうか。

 かゆみのある湿疹が出たり、治まったりを繰り返す慢性疾患です。親、兄や姉ら家族にアトピーの人がいたり、自身や家族に気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎があったりする人はなりやすいといえます。最近は、皮膚のバリアー機能も重要だということがわかってきました。

 ――皮膚のバリアー機能とは。

 皮膚の表面を守る役割で、フィラグリンというたんぱく質などが機能の維持に重要だとされています。この機能が悪くなると、外から色々なアレルゲンなどの刺激が皮膚を通じて入りやすくなり、湿疹や炎症が起こりやすくなります。

 近年は皮膚を通じて、様々な異物が入り込むのを契機にアレルギーが引き起こされると考えられています。

 一例として、「茶のしずく石鹼(せっけん)」の旧商品を使った人に起きた小麦アレルギーの問題があります。このせっけんに含まれた小麦由来の「加水分解コムギ」という成分が、使った人の皮膚を通じて入り込み、じんましんや小麦を食べて運動した際のアナフィラキシー症状を引き起こしました。

 スキンケアで皮膚を良い状態にしておくことが、成長するに従って様々なアレルギー疾患が連鎖的に起こる「アレルギーマーチ」の予防になるのではないかというのが最近の考え方です。

 ――アトピーはどんな治療をするのでしょうか。

 薬物療法、皮膚バリアーを保つスキンケア、悪化させる原因への対策の三つが基本で、どれもきちんとすべきです。治療では湿疹がある時には薬物療法が大事で、抗炎症薬を使います。有効性が確認されているステロイド剤とタクロリムス軟膏(なんこう)を塗るのが重要です。

 ――よくステロイド剤を塗り過ぎると肌が黒くなるといわれます。

 炎症が治った時に色素沈着で皮膚が少し茶色くなることが、黒くなるという誤解につながっています。色素沈着は炎症が再発しなければ、3カ月から半年経つと大体消えていきます。

 ただステロイド剤は塗り続けると、皮膚が薄くなったり、毛細血管が拡張したりということは起こりえます。それを防ぐために、湿疹の再発を予防するための「プロアクティブ療法」で長期的に塗る量を減らす、良くなったら保湿剤を中心にするという方法があります。

 ――夏場はよく汗をかきますが、アトピーの人には良くないのでしょうか。

 汗をかくこと自体はいいことです。汗をかかないように家に閉じこもるのは良くありません。

 ただ大量にかいた汗を放置しておくと、それが刺激になってかゆみを誘発します。汗をかいた後はシャワーを浴びるなどして、きちんと汚れを落としてください。肌を清潔にして、きちんと保湿剤を塗るというのがスキンケアの基本です。

 ――夏には屋外のプールや海に出かける機会もありますが、どんな対策が必要でしょうか。

 プールには塩素、海水には塩分が含まれているので、上がった後はきちんと洗い流すことが大事です。

 日焼けは、適度であればあまり気にする必要はないと思います。

 ただ、紫外線は皮膚を老化させたり、皮膚がんの発症リスクを高めたりするので、きちんと日焼け止めクリームなどを使うのは重要です。紫外線吸収剤を使っているタイプの日焼け止めで光接触皮膚炎を起こす人もいるので、塗った後にかぶれないかに注意しながら使ってください。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(川村剛志)