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 耳が不自由なアスリートが4年に1度集うスポーツの祭典「第23回デフリンピック夏季大会」が18日夜(日本時間19日未明)、トルコ・サムスンで開幕した。97カ国・地域から約3千人の選手が参加。30日までの日程で、21競技で熱戦を繰り広げる。

 ドゥン、ドゥン、ドゥン――。開会式では、耳をつんざくような大音響の音楽が会場のスタジアムを包んだ。その音が全く届かない選手もいる。それでも、重低音の振動と、埋め尽くした観客の笑顔を楽しむように、選手たちは手を振りながら入場した。

 入場する選手の国名は、旗とともにスタジアム中央の大型スクリーンに表示された。アナウンスは英語とトルコ語で行われ、スクリーンには、英語を国際手話で、トルコ語をトルコの手話でそれぞれ伝える手話通訳者も映し出された。

 国際ろう者スポーツ委員会で、ろう者のワレリー・ルフリデフ会長は、手話で「世界中から集まった選手たち、サムスンで一つになろう」とあいさつ。選手宣誓も手話で行われた。

日本選手108人が参加

 日本からは今大会、選手108人が参加。選手団の旗手を務めたサッカーの古島啓太選手(26)は、観客席に向かって「もっと盛り上がって」と呼びかけるように左手であおった。

 補聴器を外すと何も聞こえない。でも、主将を務める代表チームの練習では、聞こえない仲間たちに向かって「声出そうぜ」と大きな声をかける。「聞こえなくても気持ちは伝わる。声はチームを一つにする」

 5歳からサッカーを始め、夢は日本代表。でも、聞こえないことで限界も感じていた。大学生だった20歳でデフリンピックを知り、代表の座を勝ち取った。「今大会で結果を出して、耳の聞こえない子どもたちにも頑張れば日本代表になれると伝えたい」

 両手を大きく振って歩いたバレーボールの信田光宣選手(46)は、日本選手団最多タイの6回目の出場。「大会は回を追うごとに規模が大きくなっている」と開会式の雰囲気を楽しんだ。

 勤務している「日立インスファーマ」(大阪)では、社員約150人が集まっての壮行会があり、寄せ書きを社長から手渡された。経費もすべて会社負担。「まさかこんなに応援してもらえる日がくるなんて、びっくりしている」と話した。

 スマートフォンで会場を撮影しながら行進した陸上の岡田海緒(みお)選手(19)は初出場。日本女子体育大学の陸上部所属で、練習では、ラップタイムを声でではなくホワイトボードに書いて伝えてもらっている。

 高校時代、聴覚障害者の大会で800メートルを制するなどしてきた。「聞こえないのに、すごいね」。活躍するといつもそう言われることにずっと違和感があった。「私は当たり前を続けてきただけ。デフリンピックも同じ」(サムスン=斉藤寛子)