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 細菌の中には、劣悪な環境に置かれると「芽胞(がほう)」を作って生き延びるものがいます。植物の種のようなもので、生存に適した環境になると発芽して繁殖を始めます。

 食中毒対策は、加熱しておけば安心と思っていませんか? でも熱を加えても死滅しない菌もいます。代表的なのがセレウス菌とウェルシュ菌の二つです。どちらも芽胞を形成して高温に耐えます。

 セレウス菌は土やほこり、汚水などに存在し、90度60分の加熱にも耐えます。チャーハン、オムライス、スパゲティなど、米・小麦などの穀物を原料とする食品で多く報告されています。

 保存した食品中で増殖し、嘔吐(おうと)型毒素(セレウリド)を生産します。これを大量に摂取すると発症し、腹痛や下痢になることもあります。通常は発熱はみられません。摂取後30分~6時間で出現し24時間以内に治まります。嘔吐型毒素は126度で90分加熱しても安定しているので、食べる前に加熱しても予防できません。

 ウェルシュ菌は、人や動物の腸などに存在しています。臭いおならの原因とも言われ、通常は他の腸内細菌とバランスを取りながらおとなしくしています。大腸など酸素の少ない条件でのみ増殖することができ、栄養状態や環境が悪くなると芽胞を形成します。この時に下痢原性毒素(エンテロトキシン)が産生されます。これによって、体内に入ってから10時間前後で腹痛や下痢が起こります。症状は1~2日で治まります。

 ウェルシュ菌の食中毒はカレー、シチューなど煮込み料理で多くみられます。煮立てることで食品中から酸素がなくなるため、温度が下がると繁殖に適した環境になります。

 加熱で多くの菌は死滅しますが、これらの菌は熱に強いため、繁殖を抑える工夫が大切です。保管する場合は、調理後すみやかに増殖しにくい10度以下か55度以上の温度で保存しましょう。

<アピタル:医の手帳・食中毒>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/techou/