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■最前線を歩いて:上

 南米原産の小さなアリがこれほどの注目を集めることになろうと、最近までほとんどの人は想像しなかっただろう。刺されると痛みやかゆみだけでなく、急性アレルギー症状で死に至ることもある、と恐れられるヒアリ(火蟻)。5月26日に兵庫県尼崎市で見つかり、環境省がこれを6月13日に発表した途端騒ぎになった。さらに神戸、名古屋、大阪、東京と発見が続き、「殺人アリ、上陸か」との恐怖感を広げた。

 この騒動が持ち上がる前から、沖縄県は対策に取り組んできた。アリを含む生物多様性の現状を調査する「OKEON美ら森プロジェクト」が、沖縄科学技術大学院大学(OIST)生物多様性・複雑性研究ユニットを中心に、地元の学校や博物館も加わって2015年から進むほか、2016年12月からは、この調査と連携する形で沖縄県によるヒアリ対策事業も始まっていた。上陸に備える態勢が事前に整えられていたといえる。

 今回、ユニットの中心となっているOISTの吉村正志研究員(46)の調査に同行する機会があった。

■まるで「小さなジャングル」

 プロジェクト名にある「OKEON」とは、「沖縄環境モニタリングネットワーク」の略。沖縄の自然の現在を様々な手法で観測、調査し、その変化の様子を追跡するのが目的だ。沖縄本島の24地点72カ所に加え那覇港の1カ所にも調査のトラップ(昆虫捕獲器)を設け、2週間ごとに回収し、アリを含むどんな虫がそこに集まるかを調べる。24地点では、直径200メートルの円内にトラップ3基のほか気象観測装置、付近を通る哺乳類を撮影する定点カメラ、鳥や虫の鳴き声を記録する音声観測の装置も設け、自然の状況を多角的に把握する。

 調査地点の一つ、那覇市内の「末吉公園」をまず、吉村さん、OIST技術員の小笠原昌子さん(45)とともに訪ねた。

 「公園」とはいうものの実際はまるで「小さなジャングル」だ。面積は18・76ヘクタールもあり、そのうちの半分弱が整備され、一般に公開されている。調査に協力している那覇市環境保全課主幹の賀数弘さん(59)、「沖縄自然環境ファンクラブ」代表で理学博士の藤井晴彦さん(59)の2人に案内してもらい、公園に踏み込んだ。内部には遊歩道が整備されているものの、周囲の木々や草が覆いかぶさっている。亜熱帯の植物のたくましさを実感する。

■足元をはう赤いアリ

 足元には、無数のアリが右往左往している。温暖な沖縄は、アリにとって天国だ。国内で見つかるアリ296種のうち、沖縄県で半数近い146種、沖縄本島だけでも113種が生息する。

 「アリを見ると環境がわかります。たくさんいると、ここはいい環境なんだな、と」

吉村さんはそう言いつつ、1匹の…

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