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 視覚障害がない人がマッサージの国家資格を取れるコースの新設を大阪の学校法人が政府に申請したら、認定されなかった。政府は視覚障害者の「適職」を守ろうと他からの参入を抑える施策を続けてきたが、法人側は「憲法が保障する『職業選択の自由』の制限だ」と批判、認定を求めて裁判を起こした。障害の当事者からは「仕事が奪われる」との不安の声が出ている。

 学校法人「平成医療学園」(大阪市)は2015年秋、視覚障害がない人を対象にした、国家資格の「あん摩マッサージ指圧師」養成コースの新設を申請した。不認定を不服として関係法人と、大阪、東京、仙台の3地裁に訴えている。「有資格者を増やし国民の健康に奉仕したい。その思いがなぜ認められないのか」と岸野雅方理事長は首をかしげる。

 1964年改正の「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」は「当分の間、国は健常者向けの養成施設を認めないことができる」と規定する。マッサージ業に就く視覚障害者の収入を守るための措置で、法改正前に設置された健常者向けの学校はあるものの、改正後は新設されていない。厚生労働省によると少なくともここ10年は申請自体がなかった。

 有資格者の施術は健康保険が適用されるが、障害のある有資格者がより高いサービス料を得られる仕組みにはなっていない。岸野理事長は「国は学校の新設を制限するだけで、視覚障害者の収入を確保する福祉政策を怠っている」と訴える。「法律では制限する期間は『当分の間』なのに、50年も続け『職業選択の自由』を奪っている。訴訟でその妥当性を問いたい」

 一方、国は「不認定は裁量の範囲内」として、訴えの棄却を求めている。

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