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(26日、高校野球静岡大会 藤枝明誠23―10日大三島)

 「お前らはヘボ軍団だ」。藤枝明誠の選手らは新チームになってから、光岡監督にずっと言われてきた。だから、主将の中田は「甲子園に行くために『最強の』ヘボ軍団を目指そう」と仲間に言ってきた。

 試合は一回、4長短打で3点を先行した。準決勝で好左腕・池谷を擁する静岡に14―6と打ち勝った勢いがあった。五回までに計12点を奪った。

 だが七回の攻撃中、降りだしていた雨が激しくなり、中断となった。地方大会決勝は降雨コールドゲームはなく、試合続行が不可能とされた場合にはノーゲームになる。光岡監督は「正直、あの雨ですから中止は覚悟していた。中断の間は、中止になったときに選手にどんな言葉をかけたらいいのか考えていた」。

 しかし、2時間56分後、雨はやまなかったが試合は再開した。選手の集中力は切れていなかった。丁寧にボールを見極め、四死球を足がかりにさらに3イニングで計11得点。最後まで攻め続けた。

 先発のエース久保田も雨の中、冷静にストライクを投げ、着実にアウトを重ねた。光岡監督からは「全部、久保田で行くぞ」と言われていた。「中断しても集中は切らさなかった。ボールをぬらして雨の練習をしてきた」と強い気持ちは揺るがなかった。

 優勝インタビューで光岡監督は「準決勝、決勝と私は何もしていない。選手の力で勝ち取ってくれた。毎日、厳しい言葉をかけているので、今日はいっぱい褒めたい」と穏やかに語った。普段は打撃より守備に力を入れてきたという。だが、準決勝、決勝の2試合で計37得点の猛攻ぶり。中田は「打撃も一球一球に集中してきた。ようやく花開いた。気持ちが技術を上回った」と初出場をかみしめた。(坂名信行)