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 昨年はあと一歩で流した涙が、今年は歓喜に変わった。26日は四日市市営霞ケ浦球場で決勝があり、昨夏は同じ舞台で敗れた津田学園が4―3で三重を破り、夏の甲子園初出場を決めた。強打を武器に第3シードから危なげなく勝ち上がってきたが、決勝は強打の三重打線を3点に抑えた投手力も光り、悲願の初栄冠を手にした。選手権大会は8月4日に組み合わせ抽選があり、同7日に開幕する。

渾身の再登板 津田学園・水谷翼投手

 自己最速140キロの直球が外角いっぱいに決まると、津田学園のエース、水谷翼投手(3年)は右手の拳を突き上げた。駆け寄ってきた捕手の久保田拓真選手(3年)と抱き合い、念願の初優勝をかみしめた。

 勝利が目前に迫った九回2死、思わぬミスが出た。直球で詰まらせた打球は、力なくレフト方向に上がった。「これで終わった」。しかし、打球は左翼手のグラブからこぼれ落ちた。

 一変した球場の雰囲気に、悪夢が頭をよぎった。制球が定まらず、次打者に適時打を許し1点差に迫られた。不安をぬぐってくれたのは、バッテリーを組む久保田選手の一言だった。「大丈夫。落ち着いて投げればいいから」

 迎えるは、代打の岡田啓助選手(3年)。直球で追い込むと、3球目の低めのスライダーにバットが出かかったのを見逃さなかった。「相手も焦っている」。渾身(こんしん)の直球を投げ込み、逆境を跳ね返した。

 身体は疲労困憊(こんぱい)だった。準決勝の菰野戦に続く連投。佐川竜朗監督は登板回避も考えたが、この日の朝、久保田選手とともに登板を志願した。「これで最後。投げさせてください」

 いつもの球威はなかったが、強力打線を相手に丁寧に低めに集め、コーナーを突いた。久保田選手は「一球一球に気迫を感じた」。

 昨夏は初優勝にあと一歩のところまで迫った。投手陣の一角としてチームを決勝に導いたが、最後は爪がはがれ先発できず、優勝に歓喜するいなべ総合の姿をベンチから見届けることしかできなかった。「もう負けたくない」。その一心で決勝までたどり着いた。

 この日は一度マウンドを降りたが、九回再びマウンドに上がると、球速は序盤より増した。「仲間たち、先輩たちから託された思いが乗り移りました」。深紅の優勝旗をぐっと握りしめた。(三浦惇平)

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