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 純国産カヌーで東京五輪へこぎ出そう――。東京都内の町工場の技術力と、大学の学術研究を結集して純国産カヌーを作り、3年後の東京五輪でのメダル獲得を目指すプロジェクトが動き出した。開発するカヌーは、昨年のリオデジャネイロ五輪で羽根田卓也(ミキハウス)が、日本史上初のメダルとなる銅メダルを獲得したスラローム用だ。「ハネタク」が東京五輪で使うかも。

 1日、東洋大(東京都文京区)で開かれた試作品の発表会では、これまでにない形状のカヌーの試作品がお披露目された。

 艇の底はジェット機のエンジンのような空洞があり、船尾は従来品より薄い。研究開発の責任者である東洋大の望月修教授は「生物の特徴を採り入れている」と語る。例えば、船首は水の抵抗を抑えるためにカワセミのくちばしの形。2019年春の完成を目指している。

 競技用カヌーは東欧製が主流だ。これまでは、開発から1年以上経った製品しか日本国内で手に入らず、強豪の欧州勢と差が付く要因になっていたという。

 元五輪選手の藤野強・東京都カヌー協会理事長は、「今後は羽根田選手などトップ選手にも試乗してもらい、意見を聴きたい」。さっそく試作品に自ら乗り、「船が従来品より回転しやすい」と語った。

 艇には、都内の町工場の技術力がつまっている。艇はレーシングカーの製作などで実績があるテックラボ(多摩市)が担当し、コックピットは深海探査機「江戸っ子1号」の開発に参加した精密板金加工の浜野製作所(墨田区)が受け持つ。東京東信用金庫も東洋大と連携協定を結び、支援する。

 課題は資金調達だ。開発費用は5千万円が見込まれているが、うち3千万円はめどがたっておらず、スポンサー集めなどが必要な状況だ。プロジェクトチームのリーダーを務める東洋大の寺田信幸教授は、「今後はクラウドファンディングなども考えたい」と話している。(前田大輔