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 ピカッという雷のような光、ドーンという大きな音とともに、広島の街は焼け野原になった――。東近江市の県平和祈念館では、広島市で被爆した奥村チエミさん(89)=大津市=が、親子ら約50人に体験を語り、「戦争をしたら、いけん(だめだ)」と訴えた。

 奥村さんは、広島県の吉和村(現在の廿日市市)の出身。高等女学校4年の時に、爆心地から約1・7キロ付近で被爆した。閃光(せんこう)を感じた瞬間に、建物の陰にかくれたか、「川に落ちて、助かった」という。

 焼け焦げた遺体のにおいと、負傷者のうめき声の中を家族を捜して歩いた。負傷者に頼まれて傷口のウジ虫をとった。自身もやけどをしたが、満足な治療が受けられなかった……。祈念館の職員の問いかけに答えながら、奥村さんは72年前の記憶をたどり、被爆直後に目にした惨状を語った。1週間ほどして村に戻ったが、「体にできものがいっぱいでき、寝たきりになった」などと、その後の歩みについても話した。

 講演を聴いた草津市の小学6年苅野才留さん(11)は「原爆に遭ったときの奥村さんの気持ちが伝わってきた。一人一人が考えを持ってすべての人が手をつなぎ、みんなが仲良くすることが、平和への第一歩になると思う」と話した。(八百板一平)