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 東京都の豊洲市場用地のうち、都が東京ガス側から土壌汚染のある土地を578億円で購入したのは違法だとして、都民らが都に対し、購入を決めた石原慎太郎・元都知事に損害賠償請求をするよう求めた住民訴訟で、都の弁護団は7日、石原氏に賠償責任はないとする従来の方針を支える証拠文書に法的拘束力があったとする主張を撤回したことを明らかにした。

 都は元々、石原氏の決定に「違法性はない」との立場だったが、小池百合子知事が今年1月、「用地購入の経過が不透明、不適正との指摘がある」などとして再検討を表明。今回の主張撤回は、石原氏の責任追及を重視する小池氏の意向にある程度沿った形だが、一方で都の弁護団は石原氏の賠償責任までは問えないとの考えをまとめ、小池氏の思惑とは違う形になった。

 都は、都が東ガスなど地権者との間で2002年に交わした合意文書で土地の売買は決まっており、その後契約を結んだ石原氏の責任は問えないとしてきた。だが、小池氏の意向を受けて再検討した弁護団は合意文書に関する主張を撤回。文書は中間的な合意に過ぎないと判断した。

 また、売買契約が石原氏の裁量権を越えていたかについて弁護団は「契約の締結や金額の面で裁量権を逸脱した可能性もある」と指摘し、「裁量権の範囲内」としてきた主張も変更。一方で弁護団は、都が石原氏の責任を問う方針を決めた場合、議会の同意を得て都が石原氏を訴える必要があるとし、それを判断する権利は弁護団にないなどとして、今の訴訟で裁判所の判断に委ねるとする方針をまとめた。

 この訴訟は2012年5月に約40人の都民らが東京地裁に提訴。東ガスなどの所有地の購入について「都が土壌汚染対策費を考慮せずに578億円で購入したのは(行政経費の節減を定めた)地方自治法などに違反する」などとして、石原氏に購入金額を請求するよう都に求めている。

 豊洲市場の用地購入費は都が東ガス側から買った部分を含め、計1859億円。土壌汚染対策費約860億円などと合わせた総事業費は約5900億円に上っている。小池氏は昨年11月の予定だった築地市場の豊洲移転を延期した後、今年6月に移転を進める方針を示した。