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 山登りや川遊びなど、アウトドアに出かける人も多い夏。慣れない環境でけがをする恐れもあります。思いがけず事故に遭ってしまった時、どんな応急手当て(処置)をすればいいのでしょうか。

 警察庁の統計によると、2016年に起きた山での遭難2495件(2929人)のうち660件(753人)は7月と8月に発生。753人の内訳は、道に迷ったのが25・5%と最も多く、転倒が23・1%、病気が15・7%と続いた。

 水難事故も16年に起きた1505件(1742人)のうち7~8月に614件(735人)と集中していた。735人のうち死亡、行方不明は304人で場所は海と河川が8割を占めた。特に中学生以下の死亡、行方不明19人のうち12人が事故に遭った場所は河川だった。

 日本赤十字社大阪府支部で「救急法」の講師を務める高間晶子さんに、山や川での主なけがへの処置のポイントを聞いた。日赤は救急法を「けが人や急病人を正しく救助し、医師や救急隊などに引き継ぐまでの一時救命処置と応急手当て」と定めている。

 まず、転ぶなどして手や足、頭などから血が出ている時は、直ちに傷口を清潔なガーゼやハンカチで直接押さえ、血が止まるまで続ける。その際、感染を避けるため、手にポリ袋をかぶせるなどして直接血液に触れないよう注意する。包帯がなければ、大きめのハンカチやスカーフなどをきつく巻いて、圧迫することも有効だ。

 骨が折れている場合には、患部をしっかり固定して安静にすることで痛みを和らげることができる。支えにする物は患部の前後の関節をカバーする長さ、幅、十分な強さがあるものを用意する。二つ折りにした雑誌や折りたたみ傘など身近なものも使える。包帯やひもなどで固定し、腕の場合は三角巾などで首からつって移動する。

 次に、やけどした場合。痛みがなくなるまで冷やすことが基本だ。範囲が狭い場合は皮膚を傷めないよう、きれいなガーゼや布などを当てて冷たい水をかける。汚れた川の水を使う時などは、感染の危険性を減らすため、清潔な布とポリ袋で患部を覆った上から冷やすようにする。

 水ぶくれができていてもつぶさない。医師の診療の妨げとなるため、消毒薬などは塗らない。やけどの範囲が広いと命の危険もあるため、急いで病院に運ぶようにする。

 川でおぼれてしまったら。身の回りのものを活用して、できるだけ水に入らず救助する。心臓が止まると、4分以内に脳に障害が起き始めるという。呼吸をしているか迷う場合は心停止と判断。判断に時間をかけないようにする。水を吐かせるより前に胸の中央を30回、垂直に5センチほど沈むように押す。続けて、下あごを引き上げて頭を後ろに傾け、のどを広げて空気を通りやすくした後、鼻をつまみ、口で口を覆い、2回息を吹き込む。救急隊が来るまで圧迫30回、人工呼吸2回の割合で繰り返す。

 この時大切なのは、周りの人に協力を仰ぐこと。119番通報やAEDの手配、胸の圧迫の交代など、助けを求めて手当てが途切れないようにする。

 高間さんによると、応急手当てをする前に行うべきことが三つある。二次災害を防ぐための「周囲の安全確認」、必要な手当てを判断するための「傷病者の観察」、そして「迅速な通報」だ。意識障害、呼吸停止、大量出血やひどいやけどなど、緊急性が高い場合には「迷わずすぐに119番してください」。

 高間さんは、「適切に応急手当てができれば、その後の治療や回復に大きく役立ちます。とっさに対応できるよう、普段から正しいやり方を知ることが大事です」と話す。赤十字は各地で講習会を実施している。詳しくは各支部のHPへ。

<アピタル:マンスリー特集・夏の健康>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/monthly/

(石塚翔子)