[PR]

 第99回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高野連主催)は9日、1回戦4試合があり、山梨代表の山梨学院は群馬代表の前橋育英に5―12で敗れ、昨年に続く初戦突破はならなかった。山梨学院は、前橋育英の機動力と集中打を生かした攻撃に得点を許し、5投手が継投したが、勢いを止めきれなかった。打線は中盤に長打と連打で反撃したが、及ばなかった。最後まで全力を尽くす選手たちに観客からは大きな拍手が送られた。

■マウンド復帰、仲間と共に 栗尾勇摩主将

 六回表2死一、二塁。石井友樹投手(3年)に代わって、栗尾勇摩主将(3年)が甲子園のマウンドに帰ってきた。

 昨夏は2年生ながら背番号1をつけて立った場所。2回戦のいなべ総合(三重)戦で救援したが、八回に崩れて5点を失った。「大勢の観客で周りの声が聞こえず、マウンドでどんどん一人になってしまった」。チームは2―7で敗退。大粒の涙を流しながら投球を悔やんだ。

 今春から背番号は3。山梨大会でも登板はなかった。「正直、発表されたときに悔しさはあった。でも、番号がプレーするわけではない」とチームの勝利を第一に考え、悔しさは封印した。そして、いつマウンドを任されてもいいように投球練習を続けた。

 この日は、最初の打者に四球を与え2死満塁のピンチ。だが、昨夏とは違った。落ち着いて次打者を遊ゴロに打ち取った。七回表にも先頭打者に本塁打を打たれたが、孤独にはならなかった。「『追いつくから大丈夫』と内野の選手たちの声が聞こえたし、外野の選手が手を上げて励ます姿も見えた」。続く打者を3人連続で抑えた。

 バットでも力を発揮した。松尾孝太選手(3年)からの3連打などで六回裏1死二、三塁の打席。「仲間が回してくれた好機、何が何でもつなごう」と、「普段なら空振りしていたような低めの変化球」に食らいつき左前に運んだ。

 しかし、試合はその後追い上げられず敗退。マウンドには「やりきったんだから泣くな。前を向け」と仲間を励ます姿があった。

 「最後まで諦めない自分たちの野球はできた。苦しいときも支えてくれた家族や仲間たちに感謝しかない。またここに来られて良かったです」。今年の栗尾主将に涙はなかった。(野口憲太)

こんなニュースも