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 売るに売れない、捨てるに捨てられない「負動産」を、お金を払ってでも処分したいという動きがでてきた。かつて土地は、持っているだけで値上がりする大切な「資産」だったが、いまや持っているだけで税金や管理費がのしかかる「お荷物」だと感じる人が増えている。

 その典型例が別荘地だ。バブルのころ、週末に家族と遊びにいける別荘を持つことは「ステータス」だった。静岡県内の不動産業者は当時、何度も東京にきて多くの商談をまとめたことを懐かしむ。

 30年たち、いまやそうした別荘地は様変わりしている。道路は補修されずガタガタで、空き家や雑草が生えた空き区画が目立つ。廃棄物の不法投棄にも悩まされている。

 東京五輪に沸く東京など大都市の都心部の不動産市場は今も活況だが、リゾート地や地方都市、大都市でも郊外などは地価の下落が止まらない。国土交通省の住宅地の公示地価を、2011年を100とした指数でみると、3大都市圏が高止まりしているのに対し、地方圏は90・8と10ポイント近く下落した。

 大量の人が都会に流れ込んだ「団塊の世代」は25年には全員が75歳以上となり、近い将来には「大相続時代」がやってくる。

 有識者でつくる所有者不明土地問題研究会(座長・増田寛也元総務相)の推計では、相続未登記などで所有者が分からなくなっている可能性がある土地の総面積は、九州よりも広い約410万ヘクタールに達する。政府は、所有者不明の土地を公的事業に限って利用しやすくする新たな法整備などを検討している。

 ただ、「負動産」の所有者たちにとっては、固定資産税や登録免許税の負担の重さや、不動産取引の停滞の方が深刻な問題だ。価値が上がり続けるという「土地神話」を前提につくられた税制や不動産の登記制度について、抜本的に見直そうという動きは鈍い。

 土地制度に詳しい東京財団の吉原祥子氏は「価値が低下した行き場のない土地の情報をどう共有し、誰がどのように管理と権利の保全をしていくのか、包括的な議論が必要だ」と指摘する。(大津智義)