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 売却も相続もされないまま朽ちていく「負動産」物件が、大都市部にも忍び寄っている。近い将来、とくに深刻化するとみられているのがマンションの問題だ。

 国土交通省によると、分譲マンションは2016年末現在で634万戸(未分譲の在庫を含む)。築40年以上は63万戸あり、10年後には3倍近い173万戸に達するとの予測もある。

 建物とともに、所有者たちの高齢化も進む。高齢になるほど、建て替えたり、壊して売却したりする動機は生まれにくくなる。所有者が亡くなっても相続されず、「所有者不明の空室」も増えるとみられる。

 マンションの解体・跡地売却には、耐震不足や大規模被災した場合を除き、所有者全員の同意が必要だ。日本マンション学会長で、早大法科大学院教授の鎌野邦樹氏(民法)は「住民の多数決で売却できる仕組みが必要」と指摘する。それでも、実現するのは解体費を上回る土地の売却益が見込める場合に限られそうで、「抜本的な解決法はない」という。

 富士通総研の米山秀隆氏は「マンションの住民同士の付き合いは薄くても、実は運命共同体。建てる時はだれも考えないが、たたむのが難しい」と指摘する。(大津智義)