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 「うちが選ばれた時は、どよめきが起こりました」と顧問の上原英人教諭(47)が笑うほど、予想を上回る結果だった。7月の県吹奏楽コンクールで、指導する加納中学校(宮崎市)が初めて九州大会の県代表に選ばれた。

 15年ほど前に別の中学校で出場して以来2回目。久しぶりの九州大会を「楽しみたい」と笑顔を見せるが、15年の間には挫折もあった。

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 「コンクールどころか、部が運営していけない」

 約10年前に受け持った中学校の吹奏楽部では、部員が次々に辞めていった。5人いた3年生はやがて1人に。少ない時で20人ほどに減ってしまった。自分なりに一生懸命指導していたつもりだったが、演奏する生徒たちに笑顔はなかった。

 何がいけないのか――。悩んでいた上原教諭の目にとまったのが、全国の強豪吹奏楽部を訪ねて回るテレビ番組。ひたむきに全国をめざす指導者と生徒たちの姿にひかれた。

 テレビ番組をまねするように、県外の強豪中学校や高校を回った。土日を使い、時には飛び込みで遠方にある4、5校を訪ね歩いた。うち2校は数年をかけて繰り返し回った。

 各校の指導法はそれぞれだったが、共通点があった。「『音楽』という文字通り、演奏を楽しんで、部員同士の仲が良かった」

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 2015年、加納中吹奏楽部の顧問に就いてからは「雰囲気づくり」を大事にした。3年生が1年生を指導するという吹奏楽部でよくある方法は、2年生との間に溝を生むためとらないようにした。また、大会直前でも、演奏の中心を担う上級生と入部数カ月の1年生を一緒に練習させた。

 部長の伊地知朋香(もこ)さん(3年)は「昔は上下関係がしっかりしていてあまり先輩と話すことはなかったけど、今は学年を越えて仲が良い」と話す。

 雰囲気の変化が影響してか、部員数は上原教諭が着任した時から約2倍の61人に増えた。

 結果も表れてきた。一昨年の県吹奏楽コンクールで同校は銀賞だったが、昨年は県代表選考には進めなかったものの金賞を受賞。今回ついに県代表の座を勝ち取るまでに成長した。

 伊地知さんは「部員が団結しているので、音が明るくてそろいやすい」と今年の強みを話す。上原教諭は「強豪校に比べ技術面で劣るところもある。だが、持ち味を出して、聴く人がワクワクするような楽しげな演奏を披露したい」。

 大舞台でも加納中らしい朗らかな音色を響かせる。

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 九州吹奏楽コンクール中学校の部は19日にあり、加納中のほか、大淀中、西(都城)中も出場する。

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