[PR]

 戦前、深川区(現・江東区)にあった都立化学工業学校(化工)に通っていた学生2人が、東京大空襲の体験を語る催しが12日、すみだ郷土文化資料館(墨田区向島)で開かれた。約50人が参加した。

 第2次世界大戦末期の1945年3月10日、東京の下町は米軍機の爆撃を受け、焼け野原となった。化工も被災し、周辺で多くの犠牲者が出た。資料館は化工卒業生が描いた体験画を多く所蔵・展示していることから、同校OBの花沢隆弘さん(86)と山本信雄さん(86)を招き、空襲体験を語ってもらった。

 花沢さんは当時、火の海の中を逃げ、数え切れない焼けた遺体を目にした。「今の社会は戦争の記憶から遠ざかっている。語り継ぐことが大事だ。体験を記録にして後に継げるよう努力したい」と語った。山本さんは「人気の化工に入れたのに戦争によって学ぶ時間を奪われた」「『空襲でも逃げるな。逃げたら非国民』と言われた」と理不尽さに耐えた時代を振り返り、「早く敗戦を受け入れていたら、広島と長崎の原爆はなかったのに。悔しくて悲しい」と話した。(中山由美