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 72回目の終戦の日を迎えた15日、政府主催の全国戦没者追悼式が日本武道館(東京都千代田区)で開かれた。天皇、皇后両陛下や全国から集まった遺族ら約6200人が参列し、約310万人の戦没者を悼んだ。安倍晋三首相は不戦の決意を表明する一方、アジア諸国への加害と反省に5年連続で言及しなかった。

 安倍首相は式辞で、「私たちが享受している平和と繁栄は、かけがえのない命を捧げられた皆様の尊い犠牲の上に築かれた」と哀悼の意を表明。その上で、「戦争の惨禍を二度と繰り返してはならない」と述べ、3年続けて同様の表現で不戦の誓いを強調した。

 首相の式辞では1993年の細川護熙氏以降、歴代首相がアジア諸国への「深い反省」や「哀悼の意」などを表明し、加害責任に触れてきたが、安倍首相は今回も言及を避けた。

 正午に参列者全員で黙禱(もくとう)した後、天皇陛下が「おことば」を述べた。「深い反省」という表現を3年連続で使い、「戦争の惨禍が再び繰り返されない」ことを切に願うとした。

 参列を予定していた5225人の遺族のうち、戦後生まれは25・6%で初めて4分の1を超えた。戦没者の父母は7年連続でゼロ。妻は6人で、前年より1人減って過去最少となった。子どもは91人減の2789人。孫は58人増えて380人だった。

 遺族を代表して、父親が南太平洋のビスマーク諸島で戦病死した福岡県豊前市の渡辺一(はじめ)さん(83)が追悼の辞を述べた。(井上充昌)

安倍首相の式辞全文

 天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、全国戦没者追悼式を、ここに挙行致します。

 先の大戦において、三百万余の方々が、祖国を想(おも)い、家族の行く末を案じながら、苛烈(かれつ)を極めた戦場に斃(たお)れ、戦禍に遭われ、あるいは戦後、遠い異郷の地で命を落とされました。いま、その御霊(みたま)の御前にあって、御霊安かれと、心より、お祈り申し上げます。

 いま、私たちが享受している平和と繁栄は、かけがえのない命を捧げられた皆様の尊い犠牲の上に築かれたものであります。私たちは、そのことを、ひとときも忘れることはありません。改めて、衷心より、敬意と感謝の念を捧げます。

 戦争の惨禍を、二度と、繰り返してはならない。

 戦後、我が国は、一貫して、戦争を憎み、平和を重んずる国として、ただひたすらに、歩んでまいりました。そして、世界の平和と繁栄に力を尽くしてきました。私たちは、歴史と謙虚に向き合いながら、どのような時代であっても、この不動の方針を貫いてまいります。

 未(いま)だ、争いが絶えることのない世界にあって、我が国は、争いの温床ともなる貧困の問題をはじめ、様々な課題に、真摯(しんし)に取り組むことにより、世界の平和と繁栄に貢献してまいります。そして、今を生きる世代、明日を生きる世代のため、希望に満ちた明るい未来を切り拓(ひら)いていく。そのことに、全力を尽くしてまいります。

 終わりに、いま一度、戦没者の御霊に平安を、ご遺族の皆様には、ご多幸を、心よりお祈りし、式辞といたします。