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 台湾全域で15日、全世帯の半数が影響を受ける大規模な停電が起き、蔡英文(ツァイインウェン)総統は16日、「不便と不安をもたらし、おわびする」と謝罪する談話を公表した。停電の背景には逼迫(ひっぱく)する電力事情があり、経済界からは政権が進める「脱原発」路線に対し、原子力発電所の稼働を進めるよう求める声が出ている。

 15日夕方からの断続的な停電は、計668万世帯に影響をもたらし、同日深夜に復旧した。地元報道によると、各地の工業団地で生産ラインが止まり、台湾当局の初期段階の集計でも、数億円規模の被害が出ているという。中部の苗栗県では、停電中にロウソクをともした家屋から出火し、男性1人が死亡した。

 停電は、作業員の操作ミスで、天然ガス発電所への燃料供給が2分間止まったことが引き金になった。発電が止まり、電力の需給バランスが崩れた結果、安全装置が働き、停電が広がった。猛暑によって元々、需給が逼迫しており、拍車を掛けたとみられる。

 昨年5月に発足した蔡政権は、2025年の「原発ゼロ」を目指している。三つの原発の原子炉6基のうち、稼働は3基のみ。停電を受け、地元経済団体トップは「原発を使わずにいれば、電気が足りなくなるのは当然。笑い話だ」と批判し、再稼働を求めた。

 蔡総統は談話で、「(停電対策は)送電網の安全強化や、分散型の自然エネルギー発電の推進が正しい道だ」と反論し、原発再稼働に否定的な見解を示した。(台北=西本秀

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