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 男性の育児参加が進むなか、疲弊する「イクメン」が増加中だ。「パタニティーブルー」と呼ばれ、母親が出産後などに情緒不安定になる「マタニティーブルー」のパパ版と言われるが、母親はホルモンバランスの変化も関係しているのに対し、父親は環境変化などの影響が大きい。女性とはまた違った苦しみがあるようだ。

 「なんか、おかしいな」

 名古屋市の30代の男性は昨夏、自身の異変に気づき始めた。大きな音が耳に付くようになり、吐き気が止まらない。寝られない夜も増えていた。このころ、次女が誕生し、人材サービスの仕事では部長に昇進したばかり。公私ともに順風満帆のはずだった。

 1歳上の長女が生まれた時から、育児には積極的だった。家事、食事、おむつ交換、子どもと2人での外出など、一通り何でもできる自信がある。当時は課長職。午後6時には帰宅し、寝かしつけなども手伝った。同年代の妻は仕事をバリバリこなして給料も自分と同じだけ稼ぎ、対等な夫婦関係を求めた。家事・育児の分担も平等と決め、実際にそうしていた。

 だが、2人目が生まれて状況は一変した。部長になって四つの課を束ねるようになり、責任が一気に増した。目の前の成果に加え、中長期的な戦略や人材育成まで、考えることは尽きない。会社は育児に理解があったが、「自分がいないと会社が止まる」と、強いプレッシャーを感じた。

 帰宅は午後10時が普通になり、妻には「全然手伝えなくて、ごめん」と頭を下げ続けた。申し訳なさから、息抜きだった飲みに行くこともやめ、家事・育児に時間を割いた。

 妻も、2人の育児でいっぱいいっぱい。1人目のときの「実績」から、男性への期待値も上がっていたのかもしれない。ささいな会話でけんかが増え、「離婚」という言葉も飛び交うように。体が徐々にSOSを発するようになったのはこのころだ。「父、夫、部長と役割が増えてきて、全部やりきらなきゃと思うほど、本来の自分を押し潰し、ないがしろにさせざるを得なかった。自分をいたわる時間が全くなくて、ついに体が悲鳴を上げた」

 病院で告げられた病名は、うつ病。軽めの薬をもらい、症状が出そうになると飲んで落ち着かせる。妻は初め、薬を飲むことを嫌がったという。「薬を飲んでまで頑張る必要あるの?」と何度も言われたが、頑張らない選択肢なんてなかった。「仕事も家庭も壊したくないけど、自分も壊れるわけにはいかない。だから薬で落ち着かせている」。妻には、仕事でうまくいった話や薬を飲まずに済んだ日を伝え、安心させるようにしている。

 仕事を投げ出し、毎晩飲み歩けたらどんなに楽だろう。でも、それはできない。「キャパオーバーでも逃げ場がない。そんな状態なんです」

 独身だった10年前にも、うつ…

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