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 トランプ米大統領の最側近で「思想の支柱」ともされたバノン氏がホワイトハウスを去った。グローバル経済に翻弄(ほんろう)される父親の姿を見て「反エスタブリッシュメント(既得権層)」を信条に刻み込んだ首席戦略官の退場は、相次ぐ政権幹部の解任・辞任劇の中でも影響は特に大きい。政権の転換点になるのか――。

 トランプ氏は19日朝、自身のツイッターで初めてバノン氏の辞任に触れ、「バノン氏の貢献に感謝したい。不正ばかりのヒラリー・クリントン候補との選挙戦に加わってくれた」と述べた。

 政権内対立の最大の火種だったバノン氏が排除されたことで、海兵隊出身のケリー首席補佐官の秩序のもと政権運営は格段に安定するとみられる。バノン氏と政策面でも対立してきた共和党主流派と政権の関係は改善する可能性が高い。

 ただ、低迷する政権支持率がすぐに好転するとは限らない。

 バノン氏は、大統領選勝利の原動力となった、グローバル経済によって生活が苦しくなったと感じている白人労働者層の支持をつかみ取る才覚があった。批判を受けながらも、移民・難民の規制やメキシコ国境の壁建設など「米国第一」政策の推進力となっていた。トランプ政権が今後も、熱狂的な支持層をつなぎとめられるかは不透明だ。

 また、政権としては、バージニア州シャーロッツビルで起きた人種差別問題で批判を浴びる中、白人至上主義的な考えが強いバノン氏を更迭することで人種問題での批判をかわしたい思惑がある。ただ、騒ぎを拡大させたのはトランプ氏自身の発言であり、今後も政権の最大の不安定要因は、トランプ氏の言動にあるとの指摘もある。

 それ以上に、極右思想的なニュースサイト「ブライトバート」という発信の武器を持ち、情報操作が得意な戦略家を敵に回すことはやっかいだ。政権中枢にいたバノン氏は、敵対した政権幹部のスキャンダルなどを入手している可能性がある。「ケンカ別れ」の形で、バノン氏を野に放ったことは、政権の大きなリスク要因になりかねない。

 その兆しはすでにある。バノン氏は16日付のリベラル系メディア「アメリカン・プロスペクト」(電子版)とのインタビューで、ホワイトハウス内で対立するコーン国家経済会議議長やムニューシン財務長官らの名前を挙げて「毎日が闘いだ」と確執を暴露。さらに「我々は中国と経済戦争中だ。北朝鮮問題は余興に過ぎない。軍事的解決などあり得ない。忘れて良い」と述べ、トランプ氏が北朝鮮問題で排除していない軍事的解決を否定した。

 インタビューの時点で、バノン氏は辞意を伝えていたが、米メディアによると、トランプ氏はこれらの発言に腹を立てたという。

 退任後すぐにブライトバートの会長に返り咲いたバノン氏は18日、米誌に「私は今、自由になった。武器を再び自分の手に取り戻した。反対するものは徹底的に潰す」と語った。敵は、トランプ政権を批判する野党・民主党や「偽(フェイク)ニュース」と呼ぶ米メディアなのか。または、対立したクシュナー氏やケリー氏が標的となれば、政権にとってリスクだ。

 ブライトバートの編集長は、ハッシュタグ「#WAR」とツイートした。ホワイトハウスへの宣戦布告と受け止められている。(ワシントン=土佐茂生)

■「反トランプ」なら政権に壊滅…

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