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 望月清賢・前山梨市長による職員の不正採用事件は、贈収賄事件に発展した。警視庁は、ほかにも現金の授受を伴う採用はなかったか、受験者や市職員らから事情を聴いている。

 2016年度の採用試験では、57人が1次試験(筆記試験など)を受験。通過者31人が2次試験(面接、小論文)に進み、今年3月までに補欠の4人を含む17人の合格者が決まった。関係者によると、贈賄容疑で逮捕された萩原英男容疑者の息子は補欠合格だった。

 市によると、望月前市長は14年に初当選した後、市長が副市長や秘書人事課長らとともに2次試験の面接に加われるよう仕組みを変更。面接の配点もこれまでの2倍にした。さらに辞退者や退職者の人数を考慮し、16年度は望月前市長の就任後、初めて補欠合格者を出した。警視庁は、2次試験での裁量の拡大や補欠枠の新設が不正につながった可能性もあるとみている。

 萩原容疑者は今月上旬、朝日新聞の取材に採用の経緯について「お話しすることはない」と繰り返したが、前市長への金銭供与は否定していた。元収入役の滝沢博道容疑者=贈賄容疑で逮捕=は1969年に市職員となり、議会事務局長などを歴任。退職後、収入役などを務めた。飯島尚敏・副市長は「市長と知り合いだとは思うが特別深い関係にあるとは感じていなかった」と話した。

 望月前市長に働きかけをしたという証言もある。前市長の支援者の男性は知人の子が市の採用試験を受験することを伝えたことがあると話した。前市長は「筆記試験(1次試験)は私は何もできないから、とにかく勉強を頑張れ」と応じたという。また元市議の男性は「世話になった支援者から『子どもが市役所を受ける』と言われれば、市長に一声かけることはあった」と明かすが、「お金と引き換えに依頼するということはあり得ない」と話した。

 不正採用事件が取り沙汰され、今年4月から市で働く職員らは複雑な思いを口にする。ある女性職員は、「朝から晩まで必死に勉強して採用された。早く真実が明らかになって穏やかに仕事がしたい」。別の男性職員の父親は、「『お前はいくら渡したんだ』と冗談を言われ、息子たちも苦しんでいる」と話した。