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 28日にブダペストで開幕する柔道の世界選手権で、初めて男女混合の団体戦が行われる。2020年東京五輪の新種目に採用され、急きょ今回の世界選手権での実施が決まった。柔道の歴史の転換ともいえる男女混合チームによる初の闘いを前に、選手たちも大会運営側も手探り状態だ。

 日本代表の最年長で女子57キロ級の宇高菜絵(32)=コマツ=は一抹の不安を口にする。「日本の選手は男女一緒に行動する機会が少ないんですよ。男子とのコミュニケーションに(女子が)緊張するかもしれない」

 学生時代から男女別の部活動で育ち、試合や合宿も男女別々が多い日本の柔道界。学生も社会人も団体戦が盛んだが、男女が一つのチームで戦う形式は柔道の伝統にはなかったものだ。

 混合団体戦は男子3人、女子3人の計6人でチームを組む。チーム内で励まし合い、選手の配置など戦略を練る必要もある。男子73キロ級の中矢力(ALSOK)は「これまで女子選手と交流する機会が少なかった。お互いを知って、チーム力を高めて本番に臨みたい」と話す。

 一方、選手層で見れば日本は初代王者の筆頭候補だ。日本代表は7月、男女の垣根を低くするための「チームビルディング」と呼ばれる講習を男女一緒に受けた。選手も指導陣も互いにニックネームを付け、気恥ずかしさを振り払って交流を深めた。その顔から「白鵬」のあだ名が付いた女子代表の増地克之監督は「一体感が出てきた」と効果を強調。男子の井上康生監督と「東京五輪まで毎年やろう」と話したという。

 試合運営の詳細もいまだ不透明だ。柔道の試合場にはコーチボックスがあり、試合中はコーチが選手に助言を送る。混合団体戦では男女どちらのコーチがボックスに入るのか、はたまた選手ごとに入れ替わるのか――。全日本柔道連盟(全柔連)から国際柔道連盟(IJF)に問い合わせたところ、「いい質問だ」とだけ返答され、明確な回答は得られなかったという。

 出場チーム数も明らかになっていない。IJFのビゼール会長は12チーム前後の出場を目指しているが、全柔連は「組み合わせ抽選の日まで、はっきりしないかもしれない」。大会直前に「混合」が決まり、「選手をそろえるのに苦労している国もありそうだ」と見る柔道関係者もいる。

 団体戦は大会最終日の9月3日。「東京五輪の新種目になって、よし、世界選手権でもやろうとなった。1回やってみないとわからないことも多い」。全柔連の山下泰裕会長の言葉にも期待と不安が入り交じる。(波戸健一)

混合団体戦のルール

・メンバー構成は、男子が73キロ以下、90キロ以下、90キロ超。女子が57キロ以下、70キロ以下、70キロ超の計6人

・試合時間は男女とも4分間

・勝利者数が同じ場合は、得点(一本勝ち・不戦勝・相手の棄権による勝利は10点、技ありは1点、指導差の勝利は0点)によって決着。得点も同点になった場合は、無作為に選ばれた階級の選手同士で代表戦を行う