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 柔道界の超人が再始動する。ブダペストで開催中の世界選手権の男子100キロ超級で、テディ・リネール(28)=フランス=が、五輪2連覇に輝いたリオデジャネイロ五輪から、約1年ぶりの実戦で大会8連覇に挑む。日本勢はリオ五輪決勝でリネールに敗れた原沢久喜(日本中央競馬会)、世界柔道初出場の王子谷剛志(旭化成)が打倒リネールに挑戦する。

 王者の余裕の発言だろうか、ライバルへの挑発か。世界選手権開幕前、リネールは言っていた。「リオ五輪の後、何もしないで出場する世界選手権は私にとって大きなチャレンジだ」

 リオ五輪からのこの1年、一時、体重はベストより約30キロ重い165キロまで増えた。「金メダルをとったのだから、食べる、飲むのは当たり前だ」。国際大会の獲得ポイントで決まる世界ランキングも14位に急降下。今大会はノーシードでの出場となった。

 それでも、優勝候補の筆頭は揺るがない。6月、東京・講道館で開かれた国際合宿では145キロまで絞り込んだ体を披露した。原沢や王子谷、羽賀龍之介(旭化成)ら日本選手にも胸を貸し、「柔道が楽しい。早く試合がしたい」と、充実の稽古を積んだ。

 「柔道が生まれた国で金メダルを取れたら満足できる」と、2020年東京五輪までの現役続行に迷いはない。そして、東京の次の24年は母国のパリ五輪が決定的。「野村(忠宏)選手を超える、五輪4連覇をパリで目指せればいい」。畳に上がり続ける新たなモチベーションが芽生えた。

 男子100キロ超級は個人戦最終日の2日。原沢はリネールと反対のブロックに入り、決勝まで当たらない。一方、王子谷は準決勝でリネールと当たる可能性がある。東京五輪の代表を争う、同い年の原沢と王子谷は、「自分が先にリネールを倒す。それこそが東京五輪の代表に近づく道」と対抗心を燃やしている。(波戸健一)