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 全長12キロ、高さ6メートル。幾重もの金属フェンスが、壁のように町を囲んでいた。

 アフリカ大陸北岸にあるスペインの飛び地領メリリャ。地中海に面し、三方をモロッコに囲まれた港町だ。15世紀末のイスラム勢力との戦いの結果、スペイン領となった経緯がある。

 スペインの1人当たりの国民総所得はモロッコの約9倍。サハラ砂漠以南との格差はさらに大きい。欧州をめざす難民・移民が、数千人規模で国境のフェンスを越えた年もある。「世界で最も格差の大きい国境だ」と地元警察幹部は語る。

 8月にスペイン・バルセロナなどで起きた連続テロ事件には、メリリャ出身のスペイン人が関与したとされる。また容疑者の大半はスペイン本土側に住むモロッコ人だった。治安当局は、アフリカと欧州の結節点であるメリリャが「イスラム国」(IS)など過激派組織の温床になっていると警戒を強める。ISは今、スペインを含むイベリア半島を奪還せよと、共鳴する者に呼びかけている。

■スペイン領メリリャ 無法地帯に非公式モスク

 暗闇に輝く明かり――アフリカの中の「欧州」であるスペインの飛び地領メリリャを、地元警察幹部はこう呼んだ。

 メリリャからイベリア半島南岸のマラガまでフェリーで約5時間。今年、メリリャなど北アフリカからスペイン本土側に渡るルートで欧州に入った難民・移民は、7月までで約8千人にのぼる。

 欧州を目指す不法移民を阻むフェンスは、1998年に造られた。2005年秋に数千人が乗り越えたため、フェンスの高さは2倍の6メートルに引き上げられた。それでも14~15年には数千人が越境した。

 また国境の検問所には、モロッコ側から人や車が押し寄せる。物資購入が目的の「担ぎ屋」ら、1日約3万人が行き交う。メリリャの住民自体、すでにイスラム系が半数を超えている。

 紺碧(こんぺき)の地中海に沿…

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