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(8日、阪神8―3DeNA)

 どんな時も自分の役割を考え、淡々と仕事をする。節目の一打にも、鳥谷の流儀が表れていた。

 二回1死一塁。考えは「走者を進める延長線上にヒットがあったらいい」。引っ張れる球を待った。右前安打になれば、一、三塁に好機を広げられるからだ。変化球をたたくと、二塁手の頭上を越えた。白球が右中間を転々とするのを見ながら「そういえば2千本だな」。二塁上でヘルメットを取り、頭を下げた。花束を受け取り、ようやく「実感が湧いた」。

 開幕前の段階で、残り128本。不振で正遊撃手の座を失った昨季は106安打に終わった。鳥谷が今季、通算2千安打に到達するには、レギュラーを奪い返す必要があった。

 今季、三塁を確保し、誰にも譲る気配を見せない。根底にあるのは悔しさ。昨年7月24日、連続試合全イニング出場が歴代4位の667で途切れた。

 当時の打率は2割3分台。先発を外れ「違う世界で野球をやっているみたい」。打撃フォームは「毎日変えていた」。ステップを踏んでから右足を上げたり、左の手袋を外したり、試行錯誤の毎日だった。

 今季のフォームは安定している。右足の上げ方は一定で、次打者席では左手でバットを持ち、タイミングを計る。利き手の左を効果的に使うことで、逆方向への安打も多くなった。昨季、43本にとどまった中堅から左方向への安打も、今季は73本に増えている。

 「ここで踏ん張れるか。自分の野球人生の中で、一つのポイント」と決意して臨んでいる14年目。偉業達成は、復活の証しだ。(井上翔太

 阪神・金本監督(2008年に2千安打を達成) 「2千本を打った日に勝てたというのが一番うれしい。内野手でずっと試合に出続けての達成だから、たいしたものだと思う。長くやっていれば、昨年のように成績が落ちるシーズンはある。次の年が勝負になるが、その勝負に見事、勝った」

 阪神・福留(昨季、日米通算2千安打を達成) 「(花束を渡し)『おめでとう、よかったね』と声をかけた。(不振だった昨年について)これだけ長いことやっていれば苦労しない方がおかしい。それを乗り越える力があった。同じチームでこうやって2千という数字を見られて幸せなこと」

 ○西岡(神) 七回に決勝の適時打。「きょうは鳥谷さんの2千本があった。勝ったので気分よく帰って欲しいなと思う」

 ○坂本(神) 二回に2ラン、八回は2点適時打。「試合前から勝って鳥谷さんを祝えるようにしようと話していた」

 田中浩(D) 鳥谷は早大の1年先輩。「学生時代から背中を追ってきた。毎日、試合に出続ける姿は尊敬に尽きる」