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 国内で唯一、イルカなど小型鯨類の追い込み漁をしている和歌山県太地町で1日、今期の漁が始まった。漁港周辺には反捕鯨団体のメンバーや支持者と見られる外国人が駆けつけたが、混乱はなかった。町はこうした反捕鯨の動きに対抗しようと、同じ追い込み漁をしている北大西洋の町との連携に乗り出した。

 太地いさな組合(組合員23人)の漁船12隻が午前5時すぎに熊野灘へ出港。台風15号の影響で波が高く、漁をせずにすぐに港に引き返した。小畑充規(こばたみつのり)組合長(51)は「9月中には幸先良く、ある程度の水揚げをしたい。反捕鯨の人とは考え方が全く違うので、こちらは自分たちの仕事をしていくだけ」と話した。漁期は来年4月末まで。

 太地町の追い込み漁は、国が示す捕獲枠の中で知事の許可を受けて行われる。今期の捕獲枠は9種計1940頭。近年、枠の半分程度しか捕っていない。

 アカデミー賞受賞の米映画「ザ・コーヴ」(2009年)で追い込み漁が批判的に描かれ、世界動物園水族館協会も「野蛮だ」と問題視している。太地町には例年、数十人もの反捕鯨活動家がやってくる。この日も「日本イルカの日」とプリントしたTシャツを着た外国人2人が岸壁から出漁の様子を写真や動画に収めていた。刻々と反捕鯨のメッセージをインターネットなどで世界へ発信する動きに対し、町は「許可を受けて漁をしている町の立場が埋没してしまう」と危機感を募らせてきた。

 対策として町が期待するのが、同じ漁をするデンマーク領フェロー諸島の町、クラクスビークとの姉妹都市提携。同諸島も反捕鯨団体の妨害や監視に苦しんでいるといい、連携して「水産資源を持続的に利用している」と漁の正当性を国際社会に訴える考えだ。

 8月21~27日の日程で現地を訪問してきた三軒一高(さんげんかずたか)・太地町長によると、相手町長は「9月末の議会に諮ってから返事をする」との回答だったが、提携には前向きだったという。(東孝司)