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(1日、柔道・世界選手権 女子70キロ級)

 新井の強さが際立った。

 準決勝で世界選手権を3度制しているアルベアル(コロンビア)を下し、決勝の相手はペレス(プエルトリコ)。畳に腹ばいになった相手を腕力で動かし、送り襟絞めで仕留めた。

 「つかんだ代表。無駄にしたくなかった」

 新井の柔道は勇ましい。「得意な形は正統に持って技をかける」と本人が言う通り、相手としっかり組み合って真っ向勝負で技を掛けていく。半面、その形が相手に封じられた時が弱点だった。例えば、釣り手を絞られたり、落とされたりすると手詰まりになる。「正統」を貫く頑固さが邪魔になる試合も多かった。

 殻を破るきっかけは挫折だ。世界ランク7位で臨んだ昨年の全日本選抜体重別選手権。リオデジャネイロ五輪出場をかけた最終選考会で、同11位の田知本遥(ALSOK)に決勝で負けた。手に入れかけていた五輪切符を逃し、田知本が金メダルを獲得した。

 「率直に悔しかった。でも、その相手と代表を争ったと思うと、自分も金メダルが遠くないと思えた」

 柔道を柔軟に考えるようになった。本来は左組みだが、右で組む練習も始めた。体の左右のバランスがよくなり、動きの幅が広がった。「足りないものを、思い切ってやってみようと考えるようになった」

 力と技術、オールラウンドの能力が求められる女子70キロ級。日本勢は2003年の上野雅恵を最後に遠ざかっていた金メダルを、剛と柔を備えた新井がもぎ取った。(波戸健一)