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 立ち止まって考える機会が少ない日本語ですが、日本語学では地域に根ざした方言や文法といった従来のテーマだけでなく、SNSなど新しい分野を開拓する動きもあります。題材が身近にあり、幅広いのも魅力。日本語の変化から日本社会の一面を見ることができるかもしれません。

■33家族のLINE分析

 7月下旬、日本大文理学部(東京都世田谷区)。国文学科の田中ゆかり教授(日本語学)のゼミ生約20人が教室に顔をそろえた。4年生は卒業論文、3年生はゼミ論文の作成に向け、それぞれのテーマについて報告し合っていた。

 「使える春服でカッコいい女●(ハート)」

 「キャンパスの『可愛い』デビュー オフィスの『あか抜け』デビュー」

 3年の高木眞穂さん(20)のゼミ論文に、そんな文字が躍る女性ファッション誌の資料があった。テーマは「『JJ』の表紙分析」。20代女性が主な対象の月刊誌の日本語が1980年以降どう変化したのか、表紙に登場する言葉から明らかにするねらいだ。

 ファッション、コスメ・美容、ヘアスタイル、ブランド名に該当する言葉を拾い、集計する。「洋服中心から、メイクやヘアスタイルも含むライフスタイル全体へと、女性誌が扱う対象が広がってきたのでは、という漠然とした見通しがありました」と話す。

 他にも昨年ヒットした「逃げるは恥だが役に立つ」(逃げ恥)に着想を得た「テレビドラマのタイトルの特徴と省略表記」や「ゆるキャラのネーミングの傾向」などユニークなテーマの報告が続いた。

 ゼミを指導する田中教授が主に研究対象としているのは方言だ。地域に根ざした「リアル方言」だけでなく、それを元にしながら、ご当地らしさを共有するための「バーチャル方言」にも着目する。

 別の大学に勤めた90年代、年度の前期に「リアル方言」、後期は若者言葉などを扱う授業を受け持った。当初は後期のほうが人気があったが、2000年過ぎごろから前期を選ぶ学生の人数が増え、ついに逆転したという。「地方を象徴し低くみられていた方言が、価値あるものとして受け入れられるようになった」。小中学校の国語でも、祖父母らにインタビューし、礼状を書くなど様々な学習を盛り込める方言は、調べ学習の格好の材料になっているという。

 一方のバーチャル方言。関西人でもないのに「なんでやねん」と突っ込むなど表現ツールとしての方言使用に注目し、「方言萌え!? ヴァーチャル方言を読み解く」(岩波ジュニア新書)を書いた。「両方の方言を通して、現在や将来の日本の姿が見えてくる」と話す。

 学生たちの関心は、方言以外にも様々な分野に広がる。16年度の卒論では、SNSのLINEを取り上げた学生も。友人らに依頼し、33家族のグループトークのデータを集めて内容を分析。母親の発言が多い家族では、母親からの質問や頼みごとに家族が返答するパターンが多くみられたのに対し、父親の発言が多い家族では、天気の話題など父親の独り言のような発言で完結し、家族が反応しないケースが目立つ、という違いを突き止めた。

 この学生は16年度の国文学科…

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