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 関取の過半数が平成生まれの今の大相撲において、昭和世代の35歳、嘉風=本名・大西雅継、大分県出身、尾車部屋=がキラリと輝きを放っている。「お客さんが喜ぶ相撲を取るのがプロ」と話すベテランは、177センチと関取としては小柄な体で、秋場所(10日初日、東京・国技館)でも横綱、大関を脅かす存在だ。

 小結だったここ2場所、スピード感あふれる相撲で横綱、大関を計6度破って連続で勝ち越した。秋場所の新番付では1年半ぶりに関脇に復帰。35歳5カ月での関脇昇進は戦後5番目の年長記録で、昭和以降の生まれとしては最年長記録を更新した。

 だが、本人は「その記録にはこだわっていない」。見据えるのはさらに上だ。「最年長新大関にこだわりたい。なぜなら、それは誰もできないと思うから」

 日体大から2004年に尾車部屋に入門し、06年に23歳で新入幕を果たした。安定した成績を残したが、上位相手には苦戦が続き、初金星は新入幕から8年半が過ぎた32歳3カ月のとき。多くの力士が体の衰えを感じ始める年齢だ。稽古量も若いころの10分の1ほどになっていた。

 しかし、嘉風は「気持ちの成長で、できることを100%出せるようになってきた」と明かす。金星は計六つ、三賞は30歳を過ぎてから7度受賞。声援も横綱、大関に負けないくらい受けるようになった。

 新関脇だった1年半前より「大関への距離はグッと縮まっている」と言う。「ダメなら、元々持っている力がないだけ。それはそれでしょうがない。腹をくくってやるだけです」(菅沼遼)