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(2日、柔道・世界選手権 男子100キロ級、ウルフ・アロン 東海大)

 決勝。指導2の劣勢で延長に入ってもウルフは動じていなかった。「根性とスタミナが持ち味ですから」。延長27秒、鋭い大内刈りで技あり。決着をつけた。全6戦のうち決勝を含む4戦が延長勝ちだった。

 持久力には絶対の自信がある。強豪選手を多数育てた東海大の上水監督も、ウルフの体力には舌を巻く。「ウルフは凝縮した練習を何日も続けられる。稽古の質が高い」。ロープ引きや懸垂、山の斜面を使った坂道ダッシュ。井上康生(男子代表監督)の足腰を鍛えた大学近くの小高い山で、ウルフも鍛えられた。

 ミドルネームは「フィリップ」。米国出身の父は日本の大学で英語講師をしているが「僕は全然しゃべれない」とおどける。「何で外国人が代表って思われることもあるけど、生まれも育ちも東京。ハーフとか関係なく日本代表で戦っていたい」と言い切る。

 大学2年だった2年前の全日本学生優勝大会。8連覇をかけて東海大の代表戦に起用され、筑波大の永瀬貴規(現・旭化成)に負けた。自分より階級が下の永瀬に負け、連覇の記録を途絶えさせた。「あれから加速度的に強くなった」と上水監督。組み手を改善し、相手を寄せても、離しても力が出せるようになった。

 4年生の今年は主将に就任。ぐいぐい人を引っ張るタイプではないが、120人の部員の先頭に立った。「主将の重圧が自分を強くしてくれている」と成長を実感する。

 同じ階級の羽賀、100キロ超級の原沢と王子谷が早々に敗退した個人戦最終日。「子供が憧れる柔道選手になりたい」という21歳が孤軍奮闘し、日本の重量級の面目は保たれた。(波戸健一)

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