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■小さないのち みんなで守る

 朝日新聞が都道府県などに取材したところ、2013~16年度の4年間に路上などに遺棄された子どもは少なくとも58人いた。多くが生後間もない赤ちゃんで、妊娠を家族らに打ち明けられず、孤立したまま出産し、遺棄に至ったケースが多いとみられる。

 予期せぬ妊娠をしても、児相や病院、電話相談窓口など、どこかに相談すれば何らかの支援につながり、赤ちゃんが遺棄される事態は防げる可能性が高い。だが、東京・渋谷など街頭で若者に声をかけたり、若い女性からの相談に乗ったりしているNPO法人・BONDプロジェクト代表の橘ジュンさん(46)は、困難な状況なのに自分からSOSを出せない女性たちを多く見てきた。

 街で出会ったある少女は「妊娠したが、相手がわからない」と話し、橘さんとまず病院に行く約束をした。しかし、約束の時間に彼女は現れなかった。「『自分を否定されたくない』などと、相談に大きな抵抗を感じる女性がいる。彼女たちが本当の気持ちを話せるようになるには時間がかかる」という。「彼女たちが抱える背景を理解し、時間をかけて信頼関係を築いていく中長期的なサポートが必要です」

 妊娠で悩む人たちに対し「待ち」の姿勢ではなく、積極的に声をかけ、SOSに手を差し伸べる「アウトリーチ活動」は、まだ一部の民間団体などにとどまる。

 昨年の児童福祉法改正では、医療機関や学校などに対し、支援が必要と思われる妊婦を見つけたら市町村に知らせるよう努力義務を課した。妊娠相談の専門員を病院などに置くモデル事業も今年度、6自治体で行う予定だ。

 大阪母子医療センター(大阪府和泉市)は、匿名で妊娠相談を受け、病院や行政への相談に付き添う活動などを始めた。

 同センターの相談窓口「にんしんSOS」では、年間1千人以上からの電話やメールでの相談に応じる。その結果、妊婦健診を受けないままの「飛び込み出産」や生後すぐの虐待死亡を防げたとみられるケースは、昨年度末までに289件あったと分析する。

 全国妊娠SOSネットワークによると、自治体の委託などによる妊娠相談窓口は年々増え、全国で40カ所ほどあるという。同ネットワークの佐藤拓代代表理事(65)=大阪母子医療センター医師=は「相談対応には社会福祉や母親が抱える葛藤への理解が不可欠だが、すべての窓口で十分な対応ができているとはいえない。民間団体と連携しつつ、国として相談やアウトリーチによる支援を行う必要がある。性教育も十分にできているとはいえない」と訴える。(塩入彩)

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●予期せぬ妊娠などで困った時の相談先

【全国妊娠SOSネットワーク】で検索→各地の窓口にリンク

サイト http://zenninnet-sos.org/別ウインドウで開きます

【BOND(ボンド)プロジェクト】

サイト http://bondproject.jp/別ウインドウで開きます