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小さないのち みんなで守る

 路上などに遺棄された子どもが2013~16年度の4年間に少なくとも58人いて、うち10人が死亡していたことが、都道府県などへの朝日新聞の取材でわかった。多くが生後間もない赤ちゃんで、遺棄した人物が判明したケースの7割は実母によるものだった。妊娠を家族らに打ち明けられず、孤立したまま出産し、遺棄に至ったケースが多いとみられる。

 遺棄された子どもの保護などを担う児童相談所がある計69自治体(全都道府県と政令指定市、2中核市)にアンケートなどで今年5~8月に取材。「遺棄され、保護された時に親が分からない児童」という厚生労働省の「棄児(きじ)」(捨てられた子)の定義などに沿って、死亡した子どもも含め自治体が把握している人数や発見場所などを聞いた。

 発見場所は、路上(9人)、役場や児童養護施設などの敷地(9人)、トイレ(4人)、公園(3人)など。親が育てられない子どもを匿名で預かる慈恵病院(熊本市)の「こうのとりのゆりかご」に預けられた子どもも19人いた。

 58人のうち、詳細がわかった44人の中では、41人が0歳児。亡くなった10人を含む34人は生後0カ月児だった。発見時、低体温症など健康状態に問題があった子どもも10人いた。保護後の居場所は、里親(13人)、特別養子縁組(7人)、乳児院(7人)など。

 遺棄した人物を児相が把握できた25人のうち、実母による遺棄は18人。ほかは実父らによるものだった。一方、身元がわからない子どもが4割弱いた。

 関東のある自治体では15年冬、へその緒がついた全裸の赤ちゃんが道路端に置かれていた。低体温症になっていたが、回復し、現在は里親が育てているという。20代の母親が保護責任者遺棄致傷容疑で逮捕された。

 各自治体に背景や要因を聞くと、「望まない妊娠」や「経済的に育てられない」「未婚・非婚」「家族や親族からの孤立」などを挙げるところが目立った。必要な施策としては、予期せぬ妊娠をした場合の相談支援の充実のほか、里親制度や特別養子縁組制度を推進し、それを周知することを挙げた自治体が多かった。

 厚生労働省は、保護時に親が判明していた子どもを「置き去り児童」として「棄児」と区別している。今回の取材で置き去り児童についても聞いたところ、13~16年度で少なくとも計589人いた。

 自治体によって置き去り児童のとらえ方に違いがあるが、一人親家庭などで夜間に子どもを家に残して親が仕事などに行くケースが目立った。車内に子どもを残して親が買い物に行ったり保育園に親が迎えに来なかったりした例もあった。少なくとも4人は、車内で熱中症になるなどして死亡していた。

 赤ちゃんの遺棄は最近も相次いでいる。6月には、三重県四日市市の無職の少女(19)が生後間もない女児の遺体を自室のクローゼットに遺棄したとして、死体遺棄容疑で逮捕された。7月には神奈川県平塚市で、高校2年の男女が赤ちゃんの遺体を埋めたとして、死体遺棄容疑で逮捕された。

 児相職員の研修を担う子どもの虹情報研修センター(横浜市)の川崎二三彦センター長は、実母による遺棄が多い背景について「相手の男性が何もしてくれず、親にも妊娠を打ち明けられないなど、家族関係の問題がある。実母が妊娠を隠さなくても済む社会にしていく必要がある」と話す。(長富由希子)

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 予期せぬ妊娠などで、生みの親が育てられない赤ちゃんが、生後間もなく命を落としてしまう悲劇が後を絶ちません。厳しい境遇のもとで生まれた赤ちゃんを社会で迎え、健やかに育てていく環境が十分に整っているとは言えません。すべての赤ちゃんの命を守り育てていくため、妊婦や生みの親、育ての親への支援を含めて何ができるのか。考えていきます。