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 8月6日は、「考古学は地域に勇気を与える」と各地の遺跡保護を訴えて、2013年に没した考古学者森浩一さんの命日だった。2年前から、教え子やファンがこの時期に「森浩一先生に学ぶ会」を企画しており、今年は命日に大阪府泉大津市の府立泉大津高校で開かれた。

 母校の同志社大学で多くの研究者を育てた森さんは、大学卒業後の14年間、泉大津高校で教師をつとめた。「学ぶ会」では森さんが指導した同校地歴部の「考古資料室」が公開され、弥生時代の土器や古墳時代の埴輪(はにわ)など貴重な資料が並び、ちょっとした博物館のようだった。

 展示資料には「信太千塚(しのだせんづか)」の出土品が多い。和泉市・信太丘陵に広がる群集墳だが、1960年ごろから次々と破壊され、森さんが率いる地歴部が「緊急調査」した。自治体の文化財調査体制が充実した今では考えられないが、高校生が遺跡保護の最前線に立っていたのだ。

 「学ぶ会」では後輩や教え子が、森さんと遺跡破壊に立ち向かい、走り回った思い出を語った。「遺跡を守るのは行政ではなく、地域の人たちである」と訴え続けた森さんの原点を見た思いがした。(編集委員)

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