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(5日、広島8―7阪神)

 優勝に向けて、大きく近づく打球が右中間席に吸い込まれていった。1点のビハインドをひっくり返す本塁打。プロ初となるサヨナラ弾を放った広島の安部は、一塁付近でそれを見届けると高々と右拳をあげた。「最高です」。お立ち台では何度も、そして、声がかすれるほど絶叫した。

 食らいついてきた2位阪神との3連戦の初戦。九回、抑えの中崎が福留に逆転の2ランを浴びた。意気消沈しかねない展開だったが、その裏、1死二塁から安部が155キロの直球を狙い打ち、阪神の守護神ドリスを崩した。4度目となるマジックをともし、「思ったよりも冷静にいられた。直接対決で、初戦を取れたことが大きい」。

 今季4番を任されていた主砲の鈴木が8月下旬に戦線を離脱した。危機ともいえる状況で4試合連続で5番に座る。期待に応え、この日は3安打5打点と大暴れした。三回2死二、三塁では左前に2点適時打。そして七回2死二塁からは一時勝ち越しとなる適時打を右前に運んだ。

 サヨナラ弾が今季4号と本来は長距離打者ではない。五回には送りバントを決めるなど小技も巧み。ベンチの作戦の幅が広がる選手だ。「いつもつなぐことを意識している。チームに欠かせない選手と言ってもらえるようになりたい」

 広島の優勝マジックは12。新打線の形だけではない。リーグ連覇のゴールも見えてきた。(吉田純哉)

 ○緒方監督(広) 「最後はミラクル。安部の覇気の一打だった。接戦で3連戦のアタマをとれたのは大きい」

 ○松山(広) 一回、藤浪からの2ランが自己最多の11号。「当たりは完璧。タイミングをあわせて振ったら当たった」