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 米科学誌サイエンスは6日、東京大学が研究不正があったと認定した同大分子細胞生物学研究所の渡辺嘉典教授らが執筆した論文5本のうち、2015年に同誌に掲載された1本を撤回する、と発表した。不正認定後に渡辺教授らの論文が撤回されるのは初めて。

 撤回されるのは、ヒトの細胞が悪性化する過程で、染色体に異常が生じる仕組みの一端を解明したとする論文。異なる条件で撮影した顕微鏡画像を比較したり、不適切な画像処理を加えたりしたと認定した上で、「論文の結果に影響は与えないが、間違いの数に鑑みて著者らが撤回を決めた」などとしている。

 東大は8月、渡辺教授らが執筆した08~15年の五つの論文に捏造(ねつぞう)や改ざんがあったとする調査結果を発表。うち2本がサイエンス誌に掲載された。サイエンス編集部によると、もう1本の論文は一部を訂正する方向で調整しているという。

 渡辺教授は「ミスの多い論文を出版してしまい申し訳ない。編集部と相談した結果、科学論文に対する信頼性を維持するためにも、ミスのない論文を作成し直して、出し直すのが適切であると判断した」と話している。