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 国政で対立する与党と野党が「呉越同舟」で臨む選挙が大阪で始まる。10日告示の堺市長選では、自民、民進、共産などが相乗りする現職に、大阪維新の会公認の新顔が挑む。維新か、反維新か。生き残りをかけた党利党略が絡み合う。

 「堺に来るのは3回目。1回の選挙で自民の幹事長が3回も来ることはない」

 2日夜、3選をめざす現職の竹山修身市長(67)の陣営が開いた決起集会。自民の二階俊博幹事長は竹山氏との結束を強調した。

 同じ壇上に民進の平野博文府連代表も並んだ。「政党は違っても、求めるものが同じなら協力する」と力を込めた。

 今回の市長選は、竹山氏と維新公認の永藤英機・前大阪府議(41)の一騎打ちとみられている。竹山氏には自民、民進などが推薦を決定。陣営幹部には、自民や民進の国会議員や地方議員のほか、労働組合幹部らが名を連ねる。

 さらに竹山氏を強力に支援するのが共産だ。

 共産が加盟する市民団体が4日に開いた集会では、竹山氏が出席していないにもかかわらず、約1200人が参加。小池晃書記局長が駆けつけ、「安倍暴走政治の最大の補完勢力である維新に厳しい審判を下す」と訴えた。

 共産は、竹山氏の自主的支援を機関決定している。安倍晋三首相が総裁の自民も竹山氏を支援するが、府委員会幹部は「うちが応援する竹山さんを、自民も応援しているだけ」と言う。

 「反維新」の旗のもとに与野党が結集するのは、大阪市を東京のような特別区に再編する維新の看板政策「大阪都構想」への反発に加えて、大阪での維新の選挙の強さがある。

 維新は、府知事、大阪市長のポストを握り、昨年の参院選では大阪選挙区(改選数4)で2議席を占めた。勢力拡大に歯止めをかけたい各党は「敵の敵は味方」で総力を結集する。

 とりわけ堺市長選では、2013年の前回選挙で橋下徹氏が率いた維新新顔を同じ構図で破り、大阪での「不敗神話」を崩した。維新が大阪市を対象とした都構想の住民投票の再挑戦をめざすなか、再び市長選で勝利し、維新を低迷させ、住民投票を阻む考えだ。

 ただ、各党が一枚岩になっているとは言いにくい。市長選と同じ24日投開票の府議の補欠選挙(堺市堺区)では維新新顔のほか、自民、民進がそれぞれ推す新顔が1議席をめぐって争う。竹山氏は両陣営を行き来して連携をアピールするが、自民関係者は「やりにくいし、わかりづらい」とこぼす。

 維新代表の松井一郎・府知事は「主義主張や政策を全て横に置いた、相乗りの野合談合」と批判を強める。

■距離置く公明 自主投票

 一方、距離を置くのが公明だ。「様々な事情を考慮しての総合判断だ」。公明は7日、党中央幹事会で堺市長選の「自主投票」を決めた。山口那津男代表は記者会見でこう述べた。

 自民と連立政権を組む公明だが、「水と油」(公明幹部)の関係にある共産が自民とともに現職に相乗りしていることが大きい。

 自民府連の中山泰秀会長らは4日、公明府本部を訪れ、佐藤茂樹・府本部代表らと面会。中山氏は「自公連携でぜひ選挙の協力をお願いしたい」と竹山氏への支援を求めた。公明側は、共産系が発行する新聞1面に竹山氏の集会で気勢を上げる自民府議の写真が載った紙面を見せ、協力できない考えを暗に示した。

 一方、維新との関係も微妙だ。大阪府内の衆院4小選挙区に現職を抱える公明は、次期衆院選を見据えて維新にも配慮を見せるが、支持母体の創価学会を橋下氏が批判したことがあり、不信感もくすぶる。

 堺市での公明票は6万~7万票とされ、各党がその票の行方を注視しているが、学会幹部の1人は「うちは完全に自主投票。様子見が一番だ」と語る。(大隈崇、太田成美、佐藤恵子)

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